k
バブみ道日丿宮組
お題:無意識の潮風 制限時間:15分
k
潮風に煽られて駅に向かう通学時間は心臓に悪い。
「んっ……」
冷たい空気がっていうのもあるけど、普通の風と違って肌に張り付いてくる気がする。ニオイも残るから駅内でニオイ落としをしなきゃいけない。
気にするぐらいなら自転車に乗らなきゃいいのだけど、ぎりぎりまで寝ていたいと思うとそうもいかない。車で送ってもらうこともできるかもしれないけど、そこまでの親しみを持ちたくもない。彼らは血族ではあるかもしれないけど、ぼくにとってはただの他人。邪な視線を感じることもあるし、あまり関わりあいを持ちたくない。
どちらにせよ小さい頃から浴びてる潮風に良い記憶がないのは確かだ。女子生徒のスカートが捲れるぐらいはときめきもあるだろうけれど、ぼくにそっち系の趣味はない。
かといって、自分の下着を見る趣味もない。
自分の姿を見て興奮する人も世の中にはいるみたいだけど、ぼくは違う。普通に男の子が好き。いや……こらは普通じゃないか。かなりの年下にしか反応できないってのは。
こうなったのも小さい頃の思い出のせい。潮風に揺れて遊んだ日。その断片が記憶として残ってるから心臓にくる。
未だにぼくは死んでしまった弟の影を追い続けてる。
潮風とともに鼻についた血の香りを。
「こんにちわ」
「お姉さんこんにちわ」
だから、毎朝この時間に会える男の子と会話できる時間はやめれない。
「今日も可愛らしいリボンですね」
「ありがとう。君もかっこいい制服ね」
ふふと笑いあうぼくたち。
電車がくるまであることないことお互いに口にし、電車がくるとわかれた。
それがいつものルールであるように。
k バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます