い
バブみ道日丿宮組
お題:同性愛の善意 制限時間:15分
い
牙というのは全てが優しさできているわけじゃない。
「あぁそういうことか」
「そう、そういうことなの」
ルームメイトは自分で犯した罪を理解したのか、ごまかすつもりなのか笑ってるけど。
「別にあなたに飽きたというわけではないの。えっと……頼まれたから」
頼まれたからといって、牙を使ったのならばそれはやましさしかない。文字通り猛獣の牙であったといえるが、行動に移すなら悪意しかないともいえる。
「頼まれたらって行為までいくの?」
「……いかないと思う。ごめんなさい」
しゅんとした顔は愛らしく、いつまでもこうやっていじめたい気持ちに陥る。
口元が緩んでく。
「なんで謝ってるのに笑うの? どうして? え、いや……やっちゃったわたしが悪いのはわかってるのよ。で、でもね?」
「笑って許せる関係でもいたいって思って」
手に触れ、絡め取る。壊れものを大事に扱うように。
「ゆ、許してくれるの?」
「二度はないけど、さすがにそこまではしないでしょ?」
「し、しない……けど、あのこが」
あのこか。
確かに行動力がある同性は脅威だ。でも、こちらが先に縁を結んだ。それを凌駕するというのなら、こちらも血を結ぶしかない。
「血の約束できる?」
「……うん」
彼女の首筋に牙をたてると、キレイな赤が滴る。
「次はこっちにして」
私の首筋に痛みが一瞬すると、青い血が流れた。
人とは違う獣の血。
それを私たちは吸う。
私は赤い血を、彼女は青い血を。
それが私たちの繋がり。
い バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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