恋愛脳
バブみ道日丿宮組
お題:大好きな恋愛 制限時間:15分
恋愛脳
人を愛する力はとても強い。どんなに突き放しても追ってくるのは脅威である。だが、それは生きるために仕方ない行動であり否定することはできない。
僕が愛したものは皆死んだ。
ならば、誰かに追われることは恋愛に近い。
「でも」
一通り殺してしまうと寄り付かなくなる。
今ではかつての恋人ぐらい。
それを嬉しく思えばいいのか、煩わしく思えばいいのか。人間とはとてもめんどくさいものだ。生まれた時にはもう不自由になっており、自由を求めることはできない。
人間を守るというルールは人間を殺すルールと変わらない。
そのルールが嫌ならば、愛するものを殺してしまえばいい。
死は自由を導く。
たくさんの拒絶があったし、悲鳴も聞いた。
もっとも愛した恋人からは『殺してやる』と何度も言われた。すごい感情である。そこには自由がたくさんだ。
僕が歩いた道と同じように恋人が歩いた道は赤い線で繋がってる。
同じ自由になった証拠であり、僕らがまだ恋愛を続けてるということである。
大好きだから大切にしたいというのは間違ってる。大好きなら自分の管理する場所で飼育する以外に方法はない。
それが家畜を愛するということ。
僕たちは生まれながら家畜である。
人間という分類はされてるが自由はない。
鎖を引きちぎるには、人間でなくなるしかない。
「……あぁ」
食材が豊富で味もいい。
良いものを食べて育ってる証拠。人間こそ一番の家畜で駆除対象と昔の人が言ってたらしいがそのとおりだ。
自由とは家畜からの開放。
ただ虚しさは消えない。
僕と恋人ーーたった二人しか人間をやめようとはしない。
たくさんの仲間が増えればもっと美味しい食材を飼えるだろう。
「……」
実験は成功しつつある。
僕の遺伝子を持った肉の塊は、脳細胞を持たない。パイプを接続されなければまともに生きることすらできない。もはや生き物ではない。
その肉を僕は市場に投入できるところまで到達した。
止められるものはいない。
そして一度その味をしれば、元の生活には戻れない。
狩られる存在を知ってしまうから。
恋愛脳 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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