血の代償
バブみ道日丿宮組
お題:汚れた妄想 制限時間:15分
血の代償
血の代償は生きてる間に人間が必ず支払うもの。
「大丈夫?」
通学路、自転車を横転させた少年へと手を差し伸ばす。
足元は擦ったのか切り傷が見えた。
「あ、すみません」
手を取りなんなく立ち上がる少年の姿を見て、援助は執拗ないと思いポケットからティッシュを取り出し渡す。
「ありがとうございます」
「気をつけてね」
少年に作った笑顔を浮かびあがらせその場を去る。
もちろん学校にいくためだ。
この後訪れる少年の苦痛に歪む声を聞きたくもあるが遅刻するのも一大事だ。
僕は模倣される優等生でなければならない。
誰かを笑う趣味がバレてはいけない。
学校に到着すると、僕がしたことが色を付けて広まってた。
学生が助けたらしい少年がティッシュペーパーで傷口を触ったところ、激痛に苦しみ救急車を呼ばれたと。
その助けてくれた人物は好青年だったらしく、ティッシュペーパーはたまたまウェットティッシュなどの刺激が強かったものだったじゃないのかといろいろ憶測がたった。
本当は血に反応する劇薬を塗りつけてたなんて口をさけたいけど、声には出さない。
「重病にならなくてよかったね」
「ですね、最近簡単な事故が多い気がする」
学年アイドルの女学生はそういって顔を寂しがらせる。
「事故は人間ですから起きるものですよ」
会話する僕たちをキャッキャウフフとクラスメイトたちがざわつく。
慣れてるもので僕たちは、
「人間は血肉を誰よりも悲惨にアピールしますから、なるべく痛むことのないように簡単な救急セットを実は用意してるんです」
「奇遇ですね。私もタオルとか絆創膏とか持ち歩いています」
うふふと優しそうな笑みを僕にこぼす。
僕が事故で負傷した傷をより悪化させてるとは夢には思わないだろう。知ることになるのは当事者になるぐらいだが彼女とのそういうあれこれは今のところない。
つまりは起こりえない。
誰がなにかをした。そのくらいの話題しか作られない。
「人間の血もわりと足りないみたいだから献血しようかなって思って」
「なるほど、それは確かにいいことですね」
まわりから○○ちゃんの血なら男子が欲しがるんじゃ? むしろぱんつのがいいだろとざわつき、彼女が恥ずかしそうにうつむく。
「趣味としても誇らしいことみたいなので、寄付として試着してない下着を献上するのもいいかもしれませんね。たぶん受け取ってもらえないとは思いますが」
ま、お冗談をと彼女は表情を和らげてくれた。
これでこの話は終わりだ。
ただの日常を会話を告げ、教師が教室へと入ってくる。
僕は自分の席へと戻ると、スマートフォンでニュースをチェックする。
何か面白い事件はないか、介入できるものはないかとわくわくしながら自分を抑え込んだ。
血の代償 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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