第6話 完
「フフフッ! 見ろワルキュー! 最近なんだか妙に体が軽いと思ったら、こんなにスマートになった! ダイエットの効果だな!」
ダイエットをする苦労などしたことも無いクセに、得意げな表情を浮かべる愚かな父親。
「本当ですわね、アクダン様! 私もほらこの通り、こんなにスリムになりましたのよ! これも普段から健康を心掛けて、バランス良く栄養補給していた効果ですわ!」
普段から暴飲暴食を繰り返しているクセに、うっとりした顔を浮かべる愚かな義母。
「見て見て! 私もこんなにキレイになったのよ! やっぱり女は恋をするとキレイになるのよね! ワルイン様との真実の恋に目覚めた私は、これからもっともっとキレイになれるんだわ! ね? ワルイン様?」
真実の恋とやらは情欲にまみれたモノだと勘違いしている愚かな義妹は、義姉から奪った婚約者に寄り添う。自身の婚約者を捨てて。否、捨てられたの間違いか。
「もちろんだともアクーニャ! 君と出会ってから俺は体調も良いし絶好調なんだ! きっと君が幸せを運んで来てくれたんだろう! 愛してるよ!」
義妹の手を取って恍惚の表情を浮かべている愚かな元婚約者は、健康アピールをしている。
「ワルイン様ぁ~♪」
「いやぁ、めでたいめでたい、アッハハハッ!」
「あなた達、お幸せにね! ウフフフッ!」
...もういいだろう。サリナは骨と皮だけになって幸せそうに笑い合っているケダモノどもを、汚物でも見るような目で見下ろした後、そっと部屋を出た。
これだけ精気を吸い上げてやれば、もはや正常な思考すら困難なはずだ。後はせいぜい幸せな夢を見ながらゆっくりと朽ちて行けばいい。
巷では、この屋敷はすっかり『骸骨屋敷』として有名らしい。屋敷の住人は皆一様に、骨と皮だけの骸骨のような姿で屋敷を徘徊していると噂になっている。
付近の住民は怖がって誰も近寄らないし、義妹の婚約者も早々に見切りを付けて訪れて来なくなった。
使用人も全員逃げ出し、すっかり荒れ果てた屋敷を見上げたサリナは、自分の復讐は終わったとばかりに黙って屋敷を後にした。
その後、風の噂で伯爵家が没落したと聞いた。
~ fin. ~
毎日虐げられて食事すら抜かれていますが、私はサキュバスなので平気です 真理亜 @maria-mina
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