ヒューマンエラー
「今から15年前の話、家の風呂場から妙な視線を感じて振り返ってみると何も無かったんだ。感覚的に誰かいるなって思った。その日は何も無かったんだけど、次の日からなのね。」
「頭がずっと痛いんだ。酷い時は立ってられないくらいの。絶対風呂場のあの視線のせいだと思って、お祓いを頼もうと思ったんだ。」
「その時に、そういえば知り合いに寺生まれの田上って奴がそういうのに強いって言うのを思い出してソイツにお祓いを頼んだの。」
「で数日後に御札とか色々準備して、ウチの家に来たの。で、入るなり風呂場の辺りで印?みたいなのを結びだして、何してんのかな?って思って隣から覗いてみたらさ。見てたんだよ。風呂場の鏡の中から頭が潰れて目を異様にかっぴらいた白い女の霊がさ。」
「そこで田上が、そいつに御札とかをさ張り付けてばぁーってやったら逃げていってさ、そっから体調は元に戻ってったの。」
「あぁ、それと頭痛くなった理由。田上いわく、それお前の頭を両手で潰そうとしてたんだって。多分自分と同じ目に合わせたかったんだと思う、って。」
「これが僕の体験談だったんだけど、どう?」
「いやぁ~なんか、作り話っぽすぎるし、寺生まれが出て来るのも都合良すぎないか?最後も適当にばぁーってやっちゃうし。」
「いや本当にあったんだって!」
「本当か~?、津野田はその頃から大げさに物を言ってたからな。」
「嘘じゃないって!」
「はいはい。」
「うーん……そうだ!田上!田上にその時の事を詳細に言って貰えれば信じてくれるよな!?」
「まぁ、その寺生まれの田上さんとやらが本当にいるんならな。」
「言ったな?今電話かけるから待ってて。」
「はいはい。」
「あっもしもし田上!?久しぶり!覚えてる?あの15年前の事件…そう。それ、今友達に話してるんだけど全く信じてくれなくてさ。お前からも言ってや…」
「え?…最後に言ったよなって?何が?」
「聞いた人間も呪われるから誰にも言うなって?」
「あぁ〜......。」
短編ホラー集 プリティじぃじ @paraboram
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