「怖い話ですか?」


「やめて下さい。なんですか私の家にまで来て。」


「怪談師なんだから話せ、ですか?いえ、特に今日は営業していませんの……え?最近噂になっている白い女の霊の話しをしてくれって?」


「……迷惑です帰って下さい。人を待たせていますので。失礼します。」


扉をバタンときつく締める。


「あっ佐竹さん。さっきの人、もう良いんですか?」


「あ、あぁ。」


「あれ?そんなに汗を掻かれて、どうしたんですか?」


「怪談をねだられてしまってね。」


「流石佐竹さん!人気の怪談師なだけありますね。でも話してあげなかったんですか?いつもはねだられた時に名刺代わりに短めの怪談を話しているのに。」


「そうですね。アナタはこんな話しを聞いた事がありますか?話される事でこの世に縁を作り、その力を大きくする霊がいる。そして先ほど彼が言っていた白い霊がその類の霊なのですよ。」


「あぁ、最近有名ですよね。白い女の霊。」


「はい、さっきの人も流布していたんでしょう。しかし、噂も四十五日と言いますし、それにあんな人を相手にする様な方もいないでしょう。いずれ、消滅していきますね。」


「そうなのですか。所で佐竹さん。噂の白い霊の噂ってどこまで広まってると思います?」


「さぁ、検討もつかない。何故そんな事を?」


「いえ、だって。佐竹さん、もうこの街でその話をしていないの、アナタだけですよ。」




という怪談でした。いかがですか?

すみません。その後、佐竹と言う人はどうなったか、ですか。

……そうですね。


今もどこかで白い女の霊の話でもしているのかも知れませんね。








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