境界12
バブみ道日丿宮組
お題:小さな境界 制限時間:15分
境界12
ルームメイトだからこそきっちりしなきゃいけない部分がある。
「ここから先はぜったい入っちゃダメだからね!」
「えー入れないと眠れないじゃん」
そういって彼は指をさす。そこにあるのは二段ベッド。私と彼が寝るのに使用するためにあるもの。あって必然のもの。ただ男女という部分では不必要にというか不解決な現象。
「じゃぁ入らないようにして入って寝て」
「いやいや、それ日本語おかしいから、空中に浮いたとしてそれはもう入ってるよね?」
「だからって同じ境界線の中でってのは難しいと思うの」
性別が違うのも当然理由としてあるのだけど、一番問題なのは……。
「ーー君はどうして慌てたり、興奮したりしないの?」
同室だとわかったときのリアクションからまるで変わらない落ち着きようは不快感に近い。
私は同室と聞いて悲鳴をあげたというのに、彼ときたらそのへんに枯れ葉が落ちたかのように平然たる態度。もちろん私が女子生徒らしい女子生徒じゃないのはわかってる。サイズはミニチュアサイズ、前から数えたほうが早いし膨らみも下手したら男子生徒のが大きい。
けど、女子生徒に変わりない。
だからさ……ここはほら驚いたりわくわくしないと……なんていうか相手に失礼じゃない? じろじろ見られるのもそれはそれであれな気分になるけど、まるっきり興味ないというのも嫌だ。
「興奮か。さすがにそうなったらここから追い出されるしさ。とはいえ君の下着に興味がないわけじゃないよ?」
「真顔で言われるとさすがに反応に困るわね、それ」
私だけ相手に緊張してるのがバカみたい。
「わかったわ。いないものとして私も対応してみる。でも、着替えとかは覗かないでよ?」
「部屋に洗面所ついてるし、そこで着替えるって約束事にしてみる?」
確かにそうすれば部屋に入ってきた瞬間に着替えてるっていうお決まりのパターンは起こらなそう。
「あとは友だちを連れてくるときはお互い許可をとること」
「うん、いいよ」
こうして私と彼の奇妙な学校生活ははじまった。いや、終わったのかもしれない。
境界12 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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