この物語は、小学生ほどの少年正太くんと長寿の魔女アーシェさんを軸とした物語です。
アーシェさんは、誤って正太君を召喚してしまいました。
でも、これが二人の運命だったのでしょう。
様々なシーンにあたり、正太くんは賢いのは年並みの子ども以上ですが、特別な力を持っている訳ではありません。
ただ、名前の通り、性格がいいです。
正直で真っ直ぐな所が目を引きました。
私の目からは、気持ちの波が切なく、胸がちくりとしたシーンもありました。
年の差の恋愛ものと言うよりも人は人として、魔女も同じくその心を持って、絡み合う軌跡があるのだと思いました。
また、メインキャラクターの他にも濃いキャラクターが立ち回り、ときにひやひやさせられ、ときにほっとしました。
作品のテーマではないかも知れませんが、私にとっては、許し合う気持ちもメインに置かれている感じがいたします。
ラストは、どのようになるのだろうと空想を広げられる程の幅が、ぎりぎりまでありました。
読者によってそれからの世界を、心の読書と言う空に向かって、広げて欲しいと思います。
本作は、15万文字以上の長編ですが、詰め込み過ぎな感じはなく、ストレスフリーに拝読できます。
是非、ご一読ください。
片や、最強の力を持つ魔女。
片や、何の力も持たない少年。
これは、そんな二人が一緒にいる意味を、互いに見つけていく物語です。
異世界ファンタジーで『おねショタ』タグがついていますが、人間関係の在り方という普遍のものを追求した作品だと思いました。
アーシェと正太、メインの二人のみならず、アーシェの店に訪れるお客さんのエピソードを通じて、さまざまな人間関係が描かれます。
永遠の愛だったり。純粋な恋だったり。
魂の友情だったり。歪な愛憎だったり。
どれ一つとして決まった形はありません。
誰との繋がりがなくても平気だったアーシェ。
誰かの指示通りにしか生きられなかった正太。
『ご主人様』と『使い魔』であった二人の契約関係が、一人と一人の、この二人だからこその関係へと変わっていく過程が、とても丁寧に綴られています。
そして、このラスト。
その後のことを何パターンも想像したくなりました。どれもアリ。どれもエモい。
ラストまで読み通してから来る情動の波がものすごく大きい、最高の読後感でした。
ぜひぜひ、冒頭からの彼らの関係の変遷を辿って、ラストシーンまで行き着いてください。最高の景色が見られますので!