第26話 お迎え

「ははは!名前が凄いか!やっぱりソラ君は変わってるね〜。いや、むしろそれくらいの気持ちの余裕があるのは良いことだ」


 ソラの反応が面白かったのか、剣神は笑っている。


「余裕なんてないですよ?《創世》なんてもの見たから、腰が抜けちゃって」


 先程見た世界、赤月下剣獄はとてつもないものだった。世界を作り出して戦うなんて神くらいしか出来ないものだろう。


「まあご褒美だからね、奮発するもんだよ。これから神威解放……そして、《創世》まで使える様になったら、もう安心じゃないかな?」


「あんなの使える様になる気がしないんですけど……。まあ格好いいですし、使いたいですけど」


 自分で出来たらどんな名前にしようかな?なんて考えてしまう。


「おやおや、ソラ君。お迎えが来たみたいだよ」


「ん?フィーナ達か」

 

 頭にフィニーを乗せたフィーナがこちらに向かってくる。早くも仲良しな様で羨ましい限りである。


「探したぞ、ソラ!」


「全く、苦労させるわね」


 と言いながらやってくる。そういえば、フィーナは自分の属神であり護衛の様なもの。探しに来るのは当然の行動とも言える。


「腰抜けたから、運んでくれない?君の神様が困ってます」


「仕方がないな。これが私の従う神かよってなるなぁ」


 と言いながら、ソラの服の襟を掴んで引きずりながら移動を始める。


「あの、フィーナさん?お尻がとてつもなく痛いのですが」


「そりゃあ、地面を引きずってるからな。痛いだろ」


 鬼かこいつはと思わずにいられない。背負ってくれると期待したが、この有様だ。


「ソラにお似合いじゃない!」


 笑いながらフィニーが飛んでいる。砂でもぶっかけてやりたくなる。


「じゃあ、お前にあげる予定だったスキル〈巨大化〉は無しな。お前には絶対にスキルあげないから!」


「な!意地悪!おーぼーだぁ」


 と言いながらフィニーが、パンチを出してくるが〈拳闘術〉を使った拳にあっさりと返り討ちだ。


「まるで子供の喧嘩だね〜。これは、フィーナちゃんは手を焼くかなぁ?」


 面白そうに剣神が言う。


「フィニーが……」

「ソラが……」


「「悪い!」」


 2人同時に答える。なぜこの様な時には息がぴったり合うのだろうか。フィーナは呆れ顔だ。


 結局、フィーナにおぶわれて自室に戻ることが出来るのだった。

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《スキルジーニアス》俺だけ、クラス異世界転移で神界に居残りさせられたのでのんびり生きていきたい。クラスメイト?別にどうでも良いですよ! @Ritoha5680

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