第25話 格好いい技だな
「結局防がれますか……」
ソラの拳は、剣神の手によって止められていた。2回目の《無敵》を発動しての攻撃だが、さすがは剣神である。しっかりと受け止められていた。
「驚いたよ。《無敵》は、1時間に1回、5秒だけじゃなかった?2回連続だなんて」
「ええ、だから作りました。使用回数を1時間に2回に増やして」
サラッとソラが答える。それには、剣神が呆れ顔を見せる。やり過ぎたかもしれない。無敵2回は駄目か。
「転移神ちゃんに報告だね。これは、最高神様にも話が行くかもよ?」
「うわぁ、それは困ったな。剣神様、どうにかならない?足でも舐めましょうか?」
ごますりポーズで、剣神に聞く。
「私の足を舐めるのは構わないけど、やっぱりこれは報告しないとね〜。転移神ちゃんは、ソラくんの保護者みたいなものだし」
足は舐めて良いみたいだ。覚えておこう。なんか変態みたいだな……
「さて、ソラくんが頑張ったご褒美をあげようじゃないの!これから修行もしていくことだしね!」
「お、ワクワク!」
一体何が貰えるのだろうか。期待が膨らむ。
「私の技を見せてあげるよ。その内、ソラくんにも習得してもらうことになるかも」
「技ですか。もしかして神威解放ですか?」
前に《無敵》の検証で、剣神が使ってきた技だ。ソラなど、《無敵》なしで喰らえば粉々になるだろうなと思う。
「いんや、今回はもっとすごいの。《創世》ってのを見せてあげる」
「《創世》……世界を作るってこと……?」
いきなりとんでもない方向に話が飛んでいく。
「そうそう。私達、神々はそれぞれ世界を作る力を持ってるの。下級神なんかは、それで様々な世界を運営してるのよね。上級神である私達にも、その世界を作る力は当然あるわけ。そして、それを戦闘に使うことも出来る」
いつの間にか、ソラの周囲には魔力が充満しているのを感じた。
これは……一瞬、瞬きをした瞬間。
世界が変わった。
「どこだ。ここは……」
竹藪の中にポツンとソラは立っている。そして、空には赤い月が浮かんでいた。
「《創世》
いつの間にか、目の前には剣神が立っている。その手には、剣を携えて。
「は……ははっ……」
ソラは苦笑いを浮かべることしかできない。ここで、剣神と戦えばどんなに強者であろうとも殺されると思った。剣神がこれまで以上の圧倒的な存在に感じる。
「これが《創世》だよ。私が最も限界を超えて力を発揮することが出来る場所。まあ、邪神と戦わない限り使わないけどさ〜」
と言うと、景色が元に戻る。解除された様だ。
「はぁ……」
ソラはすぐさま地面に膝をついた。先程まで目にしていたものの強大さに、腰が抜けてしまいそうだった。
「どうだった?《創世》を体感した気分は」
座り込むソラに剣神が聞いてくる。
「表す言葉が思いつかない……とにかく、凄かった。死ぬと思うほどに。それに……」
「それに?」
「赤月下剣獄って、名前凄いっすね」
どこか的外れなコメントをするソラだった。
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