日々
バブみ道日丿宮組
お題:今日の克服 制限時間:15分
日々
今日こそはと足を玄関に向かわせてみるがやっぱり扉をあける勇気がでない。
「いったいいつになったら一緒に登校してくれるのからし?」
声に振り返れば、幼馴染と寮の仲間たちがいた。
「私だって頑張ってるんだよ。でもーー」
難しい。
「わかってます。あいつがやったことはあたしたちでも忘れられないし許せない。気づけなかったことは一生消えない傷になった」
頷く寮の仲間たち。
「……」
私が学校に行けなくなったのはいじめが原因。物を隠されたりするのは当然で、服を切られたりするのも日常茶飯事。親に隠しつつ、幼馴染にも気付かれないようにしてた。
けど、それは間違ってたって今ならわかる。
「ここはあたしたちがみんなで守ってあげられる場所だから」
微笑む幼馴染には影がちらついた。
きっと私の暮らせなくなった部屋を思い出してしまったのだろう。
「……うん」
あの時部屋まで荒らしにきたのはよくわからなくなった。
私が泣いても部屋を壊させるのを止めることはできなかった。私の両手両足はあのいじめっこの配下が抑えてて……家族もでかけてて誰も側にいなかった。
あのとき少しでも勇気があれば、いじめっこたちを家にいえることはなかった。
頭をなでながら幼馴染は、私が開けれなかった扉を開く。
「今はまだここでいいんだよ。あたしたちがいる場所をあなたが守ってくれてるから安心して通って帰ってこられる」
「……うん」
いってきますと次々に声をかけて外に出てく。
みんなの制服は私のと違って新品のような真新しさはない。
「プリントはもらってくるし、宿題も昨日受け取ったから出してくるよ」
「……うん」
「授業に出てるあたしたちよりもできるのが不思議だけどね」
あははと幼馴染は大きな声で笑い、
「いつも教えてもらってごめんね」
「ううん、私もいつか隣に立ちたいから……」
「じゃぁいってきます」
いってらっしゃいと手を振ると、扉は閉じて寮内は静けさに包まれた。
監視カメラも作動してるからいじめっこたちはやってこない。警報がなればすぐに警察がやってくる。そこまでは馬鹿じゃないと考えてたけど、学校にそのいじめっこがたまに目撃されるというのだから安心できない。
さすがに校内に自由に入れる学校ではないし、いじめっこにも通う学校があるから毎日はやってこない。だいたいやってくる理由もない。
私をいじめたいのかもしれないけど、学校を休んでやってくる理由がわからない。そこまで私を追い詰めたいのだろうか。わからない。
「よし」
制服から着替えよう。
汚れてしまえば通う気持ちもまたなくなってしまうかもしれない。
日々 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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