彼と僕

バブみ道日丿宮組

お題:ねじれた彼氏 制限時間:15分

彼と僕

 今日も起きてみれば、

「なんて寝方してるの……」

 彼は布団団子というか、布団巻きになってた。

 どうりでいつもよりも寒いと思った。

「……」

 ほっぺたをつつくと安心できる温もりとふわっとした感触が返ってきた。

 どうせなら僕も一緒に包んでくれればいいのに……少し恥ずかしいけど。

「ほら起きて」

 ゆさゆさと布団巻きを揺らしてみれば、

「うーん、まだはやいよ」

 眠気たっぷり反応を見せる。

「今日はデートしてくれるんでしょ? そのために泊まりに来たんでしょ?」

 ねぇねぇと追加で揺らしてみれば、

「もう朝か。はやいものだな。昨日の夜久々に運動したからかな、はぁ」

 アクビと一緒にぐるぐる巻きを解除し始める彼。

「激しいってわかってるなら少しセーブすればいいのに」

「それはなんか負けた気がする。もっと可愛い君の声が聞きたく……いやなんでもない」

 睨みを利かせると彼はしぶしぶと布団を片付け始めた。

「朝ごはんは昨日買ってきてくれた菓子パンでいいよね?」

「あと母乳たっぷりのコーヒー」

「頭からコーヒーかけてもいいんだよ」

 ひぇと悲鳴をあげながら彼は着替え始めたので、台所で朝の準備をはじめる。僕も着替えないといけないが少なくともお湯ぐらいは沸かし始めたほうが効率がいい。

「デート、デート♪」

「そんなに久しぶりだったっけ?」

「そうだよ。2ヶ月ぶり。2ヶ月も放置されたんだよ」

 頭をかく彼はどことなく申し訳ないようで、

「教授から逃げるのも大変でさ」

 かわいそうになったので、

「はやく単位とってきてよ。僕はもう卒業単位終わってるんだからいつでもフリーだよ?」

 いっぱい自分をアピールしてみた。

「それはできる人間のセリフだ。俺みたいな凡人は下からごごごと這い上がることしかできねぇ。というか、2年目で卒業単位終わってるのは日本でお前ぐらいだろ」

 着替え終わった彼が台所へ入ってくる。

「こんな優秀なこが恋人なんて俺は幸運持ちだ」

 優しい彼の手のひらが僕の頭を撫でる。

「ふふ、いいでしょ。勉強みっちり試験ごとにしこんであげるから」

「お手柔らかにな。こっちは勉強不得意なんだわ」

「ご褒美があればやる気わくんだから不得意じゃないと思うよ?」

 僕というご褒美でそんなにやる気がでるのはおかしい。もとから彼はできるタイプなのだと思う。ただ本人が自覚してないだけで、能力は備わってる。

「とにかく僕も着替えてくるから火見てて」

 あぁという彼のつぶやきを背中に浴びつつ台所を離れた。

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彼と僕 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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