てがみ

お題：昼の私 制限時間：15分

てがみ

　明日の私へ

　元気でいますでしょうか。

　私は今新しい仕事場でお昼をとっています。周りには誰もいません。いつもと同じ公園で一人飯です。一応先輩社員に声をかけられたのですが、顔がいかにも業務的なものだったので断りました。

　またかと思いますか？　思いますよね。

　昨日の私もそう思います。

　で、明後日にはおそらく私は辞めてることでしょう。

　もう何度目かわかりませんね。

　仕事が合わないってことはないのですが、人があいません。空気もおそらくは。

　諦めをつければおそらく……働けるのでしょう。

　ですが、ですが。

　空気は大事です。

　かつていじめがあった学生生活、私は空気がいないのも当然で対象にはなりませんでした。いじめられっ子が私に助けの目を一瞬だけ向けたことを今でも覚えてます。まぁ一瞬なので本当に助けを求めてたのかは怪しいし、私が救えるはずもありません。

　世間は私にいつも厳しい。

　あれをやれ、これをやれ、あれはだめ、これはだめ。

　私という個人を否定してきます。いっそのこと私を消してしまったほうが早いのかもしれません。空気である私が消えれば、空気がなくなるのかなーなんてくだらないことを考える余裕はまだあります。

　数時間後の私がどうなってるのかは知りません。

　初日3時間の私しか、私にはわかりません。

　なので明日はきっと明日の私にしかわからないと思います。

　こうして手紙を書く習慣だけは守れるのに、一般という習慣は守れそうにないです。

　残飯をあげて飛びだつ鳩のような存在になれればよかったのですが、今の私はつつかれる米粒と同じです。

　色目を使って上にのし上がるという手もあるのでしょうけど、平凡な見た目で、凹凸もない体つき、おまけにほとんどない身長。

　神様はほんとに自由です。

　こうして私が自由なのもおそらく神様のおかげなのでしょうけど、もう少しなんとかしてほしかったです。

　ないものねだりは……よくありませんね。

　一週間ごとに違う職場にいける私は選ばれた存在かもしれません。

　かれこれ100社目を超えたあたりからもうどうでもよくなったことですがね。

　昨日の私、痛みはありましたか。今の私は平気です。

　まぁ私の身体じゃないですからね。

　こうやって人のつながりを持つのは私の唯一の能力かもしれません。

　もう少しきちんとした使い方をすべきかもしれませんね。

　あぁそうだ。そうでした。これは明日の私への手紙でしたね。

　めんどくさいのでもう終わりにします。

　きっと明後日は忙しいですからね。