春罪

「急いでいましたの その日は

誰かに追われて何者かを追っかけていましたの

いつものわたくしなら

そんなことは断じていたしません

そうあの日は 

いつも胸につけているブローチぽえじぃを忘れてきてしまって


それににわたくしに轢かれたといっても

あの方は汚れませんでしょ?

滑らかな白い肌のままでいらっしゃるのでしょ?

悪いひとはたくさんいるのに

なんでわたくしばかり」


罪名は

大路に落ちたはなびらの轢き逃げ

桜ならばもっと罪は軽かった

この匂い立つ足枷は

純白の木蓮であるがゆえ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クーベルチュール屡々 理柚 @yukinoshita

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ