Breathless

午後の水族館で

僕らは見世物になる

水の中のいきものは

どれもしなやかで

歪な僕らを瞬きもせず見ては

うっすらと笑う


なんだかはずかしいね

と君は言った

回廊を銀の群れが渦巻いて

硝子の天井を突き向けていく


ああ とてもはずかしいね

睦みあっているふりをして

いつかその手をこちら側に

引きずり込もうと企みあっているなんて


拍動する無心のいのちに囲まれて

見定められるふたつの心音


 爪には何も塗らないの 

 息が詰まってしまうから


水しぶきを浴びて

僕らはいっそうはずかしくなる

午後の水族館は

海からいちばん遠い場所

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