友だちB
バブみ道日丿宮組
お題:有名な動揺 制限時間:15分
友だちB
友だちだと思ってたのがこちらだけであったと知った時、とても悲しい気分になった。
これがいいだろう、あれがいいねと考えてたのがすべて無駄になった。なんのためにこんなにも時間をかけたのかよくわからなくなった。
あの人の笑顔は私だけのために作られたものじゃなかった。
だから……だから、この胸の鼓動をしずめるために友だちを友だちじゃなくした。はじめは心臓が凄く痛くなったけれど、声が聞こえなくなったらとてもいい気分になった。
一つ一つのかけらになってく友だちであったものを触り、嗅ぐ。鳥肌が立つ。でも、やめれない。やめたら私が私でなくなってしまう。そんな気分だった。
さすがにこれが見つかったらひどいことになると思って、街の人に良い肉が入ったと配った。みんな喜んでくれた。肉の味の感想はまちまちだったけど、誰かの糧になったのならきっと友だちも嬉しいだろう。
そうしてるうちに行方不明として街に情報提供を求める親の姿を見つけた。探してる友だちがもう自分たちの身体の一部になってるとは思いつきはしないだろう。いい味でしたねとここは聞いておくべき時なのだろうか。
警察は一番仲が良かったとされる私のもとにきたのはそれから一週間後だった。玄関先にその姿を見つけた時一瞬だけ胸の鼓動がどくんと震えた。ほんの少しだったのなら、それは気のせいだ。
警察は、『このこがどこにいったか知らないか? なにか話を聞かなかったか?』と聞いてきたので、私は「友だちじゃないので知らないです」と答えた。
警察と一緒に来た親は『友だちだったでしょ』と私の腕を強く掴んできたけれど、「違う」と強く言ったら悲しそうな顔をしてどこかへと歩いていってしまった。
それからしばらくしてその親は本当にどこかへ行ってしまった。
しばらくしてニュースに取り上げれた。
『我が子を殺し、被害妄想を持つ異常さーー』
そうして数ヶ月たった後、私はまた友だちを失った。
友だちB バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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