進み

バブみ道日丿宮組

お題:神の彼方 制限時間:15分

進み

 神様になったら何がしたいかと聞かれたら、生まれてこないようにしたいと答える。

 なんのために生きてるかもわからない現在。趣味もないし、好きなこともないし、嫌いなこともない。ただただ日常という普通の人のふりをするばかり。

 まわりは結婚したり、昇格したり、あるいは犯罪をしたりと楽しく過ごしてる。

 私もなにかやりたいことがあれば変わるだろうか。

 試しに犯罪をしてみようといろいろ思考を凝らしてみて実行してみた。けれど、充実感はなかった。スリにしてもお金に困ってなければそもそも欲求はわかず、性欲にしても誰かを求めることがなければ湧いてこない。

 結局無駄という結果に終わった。

 貯金を盛大に使うという第2の挑戦は、マンションを買うことからはじめ、会社を買い取るまでいろいろした。

 ま、結果は変わらない。変わったとすれば、何もしなくてもお金が入ってくるぐらいだろうか。友だちが羨ましそうにしてたので、分譲として管理と移住を頼んでみた。そんな友だちは楽しそうに生活してる。

 何が楽しいのかと聞いてみれば、『働かなくよくて、大きな部屋に無料で住めるから』と満面の笑みを向けられた。

 私はそうとしか答えられなかった。

 でも、友だちが満足してるならこれもいいものかと少し思った。

 第3の挑戦として、結婚をしてみることにした。

 ーーが。

 すぐにこれは無意味のことだと諦めた。人を好む能力がない人間が相手に恋することはありえない。ただの肉片と思うか、友だちの延長上にある生き物としか認識できないからだ。

 ならやはり、人間という枠を超えた神に近づくしかない。

 自分を壊すのは簡単だった。

 必要なものは購入できるし、人材も確保できる。

 人と場所を取得拡大し続けて、大きな基地を作った。そこで電力を無限に作る仕組みを開発し、身体を電脳化させた。

 ネットワークに私という人間であったものを拡散して、すべての人間を監視できるようにした。

 それを知らずに人は次々と自動化、ネットワークに繋いだ。

 そのおかげで私はすべてを管理できるようになった。

 神というのが存在するのであれば、おそらくこんな感じになるのだろう。

 とはいえ、やることはもうない。

 電力も、技術も外へ情報を流した。人間の発展もおそらく順調に進むだろう。彼らが私と同じデータという存在になるかはわからないが、話し相手はできてほしい。

 世界は私が考えてる以上に広いから待つことは大して苦にならない。

 

 それから数百年後、ネットワークに人がぽつぽつと現れた。


 人は肉体を捨て、次のステージに進んだのであった。

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進み バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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