撮影
バブみ道日丿宮組
お題:そ、それは・・・踊り 制限時間:15分
撮影
この町の異様さを世間に知ってもらうためには見えないことが前提条件。
バレずに取得できる前提がデータが必要。いわゆる盗撮。ばれない盗撮を完遂するしかない。
普通の撮影であれば破棄要求をされ、要求が通らなければ破壊されるという暗黙の了解の世界がこの町の常識。
隠し撮りしか生き残る方法がないと知って小さいカメラを通販してもバレるのが日常。
ならば、自作するしかない。
何時間、何日が経過したとしてもこの町を支配する神への供物という名の踊りはなくならない。必要なのは全裸という条件。なにをどうしたとしても行われる。
人によっては拷問に近いはずであるのに、誰もが喜んで行う祭りのような踊りは私が小さい頃から実施されてた。子供、大人関係なく行われるそれは異様だった。
子供の私でもおかしいことを理解してるはずなのに、友だちも、親も何も言わない。
一言であらわすなら楽しんでるという感じ。
だから当然のように裸で踊ってる。
私は理由をつけて参加してないが、カーテンをあけて外を見れば異質さしかない。裸で踊る必要がどこにあるのだろうか。神様への供物だから服は不要という考えは理解しがたい。
祀ってある神様の銅像は服を着てるし、歴史のある美術館の絵画もまた同じ。だから、この町に訪れる人達は裸の祭りを知らない。
参加したら最後彼らも取り込まれる。
最低条件といえばいいのかわからないが、取り込まれて日常を普通に過ごせるのはもしかしたらいいことなのかもしれない。
外の世界でいらぬストレスにさいなまれる日々、この町では自分の素を開放するだけ生きていける。そう考えたら服を捨てる可能性もわからなくもないが、そうしたくはない。
私は普通の生活がしたい。ストレスがたとえ私の身体を傷つけるのだとしても私は普通がしたい。
「……」
決意を胸にカメラを起動すると、静かに外の様子を撮影し始めた。
撮影 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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