第3話 自問自答
大切な人を失う。花弁が全て散ってしまう悲しさみたいに。僕の前から大切な人はいつも居なくなってしまう。
僕、悪い事したか?なんで…
そうだよな。辛いのは僕だけじゃない。ましてや亡くなった人が1番可哀想じゃないか。
僕は生きているだけで有難いことなのかもしれない。
-
自殺者は年々増加している。
-
ニュースで報道されていた。僕の心が病んで自殺してしまったら何にもならないよな。両親が悲しんでくれるのかは分からないけど。
でも、自殺したら初めて僕の事を見てくれるかもしれない…
いやっ駄目だよな。誰も幸せにはならない。
自殺は独りよがりだよな。自分が幸せになる為に自殺するのは勝手すぎる様な気がする。
逃げる事だってあるはずなのに。
家族。
友人。
学校。先生。
ネットだって今はある。
⚫
自問自答をしている間に時計の針は11を指していた。頭をフル稼働させたので、苛立ちも憎しみも嫌悪も悲しみも消えてしまった。
自殺…
この事は一旦忘れよう。
タイムリープと言う言葉を小説で見たことがあった。これに近いのでは…
まず整理してみよう。
僕は3月31日の7時辺りに意識を失った。
その後、
3月25日に自室のベットで寝ていた。
何故タイムリープが起きたんだ。これも図書館に行って調べるべきなのか。いやいや。調べてわかる事じゃないよな。
でも僕には図書館以外の調べる方法が無い。
考えた後、図書館へと向かう事にした。
⚫
タイムリープ、タイムリープ、この本はどうだろう。
タイムリープ
タイムトラベルの派生語で、時間跳躍ともいう。超常現象で時間を移動したり、作品によっては意識だけが移動したりする。
タイムトラベル?同じ様な事だろうか?
実際、僕はタイムリープしてきた訳か…
タイムリープする為に何かが働いたのか?
タイムリープする為には何かが起こる必要があったのでは?
タイムリープする為には時間が関係あるのでは?
タイムリープする為には誰かが死ぬ必要が…
駄目だ。また変な事を考えてしまう。
「君、ここに来るのは初めてかい?」
「は、はい!」
後ろを振り向くと、31日で出会ったおじさんだった。あの時は薄暗くて分からなかったが、明るい所で見ると70代後半位のおじいさんだった。
本当は1年ほど前から何度も来ていたはずだが、僕もおじいさんと会ったのはこれで2回目。
おじいさん最近務めたのかな。
「そうかそうか。本はいいですよぉ。沢山の事が知れますし、世界が見えてきます。少年はなんの本を読んでるんだい?」
「えっと小説ですよ。恋愛系の。」
「恋愛かぁ。春よのぉ。わしもそんな時期会ったのぉ。今は婆さんがもう居ないからの。」
「そ、そうなんですか…」
若干話しずらい気がするが悪い人ではなさそうだ。お婆さんが亡くなった訳か。また死ついて。思い出したくない…
「あの、おじいさん?」
「どうしたか?」
「おじいさんはタイムループって信じます?」
「タイムリープかぁ。SF系かのぉ。わしも若い頃は好きで映画やら本で読んだのぉ。信じるかどうかで言うと、信じてはないのぉ。わしはあってはならない事だと思うのぉ。それが起きたら世界が狂うからなぁ。」
「世界が狂う?」
「そうだ。1つの事柄の時間が変化するとそれに伴って他の様々な事柄も変化する。これはSFの鉄則じゃあ〜。」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます。」
「いいよ。いいよ。また話そうなぁ少年〜。」
世界が狂うか…これが本当に起こるとは思わないがあってしまってはならない事だと深く感じた。
図書館に1時間程滞在し、自然がある公園へとゆっくりな足取りで向かった。
⚫
春に差し掛かった今日、3月25日。異様にいい天気だ。雲は見えるところ無く、心地の良い風が僕の髪の毛を揺らす。今日も沢山の人が亡くなる。その1人に大切な人も含まれて。
ここの公園は殆ど人が来ないので1年程前から本を読む場所として使わせて貰っている。広さは大きめの一軒家が入る程のスペースしかないので遊具は無く、
屋根付きで机が真ん中にあり、向かい合わせに長椅子が2つある軽い食事スペースのみだ。
いつもの様に手前側の左端椅子に座る。
机、椅子は木でできており、本に似た香りがして僕の好みの匂いだ。
先程読んでいた本とは別にSF系の小説を借りてきた。いつも日が暮れるまで読み耽ってしまう。
「優くんっ。ゆーくん。ゆーーうくーーん。」
この声色は聞いた事がある優しさに溢れた…
「え?なっ、なんで西森さんが?!」
青春はまだやってこない。 中島スネイク @nakajimasuneiku
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