その指の先には
@Moyunruro
第1話
「川の向こう側に黒い人が立ってた」僕は帰宅して早々、兄にそう言った。すると、兄は眉間に皺を寄せて詳しく話をするように言ってきた。
「わかった。つまり、そいつは特に何かをする訳でもなく、お前のことを指さしていただけなんだな。」と確認をするように僕に言った。そして兄は自室に行き、一冊の本を持ってきた。ボロボロで日焼けをしたその本のページを兄はゆっくりと捲って行く。すると兄はとあるページで手を止めた。「お前が見たのはこれだろ?」そこには僕が見たものと同じものが描かれていた。すると、驚愕の気持ちを隠しきれていない僕に兄は淡々と話し始めた。
「この本はこの家の倉で見つけたんだ。これには、この地域の昔の出来事が記録されてる。その黒い人は昔からあの川の近くで目撃されてるらしい。目的は分からないが、ただそこにいるらしい。」そう言って兄はゆっくりと本を閉じた。午後11時、僕は部屋で眠った。
翌日の午前五時、僕はもう一度あの川へ向かった。あの黒い人を見たいという好奇心からだ。しかし、そこには黒い人はいなかった。その代わりに兄がいた。なぜいるのかを尋ねると、「俺も気になったから。」と言った。
その指の先には @Moyunruro
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