世界と空間、そしてあなた (短文詩作)

春嵐

世界と空間、そしてあなた

 いつもの教室。

 いつもの席。

 隣の席の子

 ん。

 私に隣なんていたっけ?


 ***


 またおかしな狐だった。


『過去が食われてる』


「過去?」


『人がひとりいなくなった。ええと、おまえの恋人』


「おいふざけんな」


『の隣の席のひと』


「驚かせんなまじで頼むよ」


『いや存在消えたら恋人のことも忘れるから大丈夫だろ』


「大丈夫どころの話ではないですね」


『どうする?』


「いや正義の味方だから助けるでしょ。恋人の隣の席のひとだぞ?」


 ***


「おはよー」


「おはよっ」


 隣の席のひと。挨拶。

 さて。

 今日もがんばって授業受けますかあ。


 ***


「終わった?」


『終わった。おつかれ』


「はあ」


『恋人のところには行くなよ。学校だから』


「いやいなくなっちゃってないか不安なんだけど」


『大丈夫だろたぶん。なんかあったら保健室経由で連絡入ってくるし』


「そすか」


『人知れずお仕事ごくろうさまです』


「おたがいさまだな」


 世界と空間、そしてあなた。

 ぜんぶ守るのは、面倒だけど。

 やりがいもある。


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世界と空間、そしてあなた (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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