とりあえずのあとがき。



 え~っと。みなさん、ここまでお読みいただきまして、本当にありがとうございます。OGBオゲレツ・ガッツリ・BL第二弾でした。


 重症恋煩いの二人は、元ネタである「地方公務員になってみたら、配属されたのは流刑地を呼ばれる音楽ホールでした」から飛び出したスピンオフになります。元ネタの主人公である熊谷蒼の年齢の近い先輩である吉田くん。彼を主人公としてBL物語を考えたのは、遥か昔の話です(かれこれ十数年以上前)。


 吉田というキャラは、熊谷あおと似通っているカテゴリーに入るんですけれども、実は蒼よりも、もっと脆弱なキャラです。自我の形成が曖昧というか、周囲のカラーに染まりやすいタイプ。おっちょこちょいで、責任転嫁もお得意な、ちょっと今時の男子的な設定でした。

 そこに出てくるのが超怖い先輩——安齋。彼が本庁に異動になったことで、熊谷蒼が配属されるという設定です。

 安齋というキャラは、私の作品では比較的珍しいS気質というのでしょうか。かなり偏った、社会にいたら、「お前、生きにくいだろう?」っていう不器用な奴です。根は真面目。こだわりが強くて、それを人にも強いるという。その反面、性的な快楽には素直で正直。だから「野獣系」になるわけですね。

 S気質と言えば、他に「澤井」というキャラも思い浮かぶかも知れませんが、澤井は、もう少し社会性がありますし、地位や名誉に縛られていて思うようではない節もあります。安齋よりは欲望を押さえられる常識人かと思います。


 今回は、敢えて安齋視点をまったく排除しての展開にしてみました。ですから、彼がいつ、どうして吉田を気に入ったのか。そもそもの始まりの感情はなんだったのか——というところはないので、皆さまのご想像にお任せという形になってしまったんですけれども、彼の気持ちにつきましては、まあそのうち、音楽ホールの続編だったり、田舎の犬と都会の猫本編のほうだったり、どこかで出てくるのではないかな~というところです。


 田舎の犬と都会の猫—推進室編—では、本庁異動後の安齋を書いておりまして、かなりの暴れん坊。星音堂にいる時よりも更に自分勝手気ままに暴れました。


 作者としましては、この安齋という男は書いていて面白いです。読んでくださっている皆様は、もう感じ取っていただいているかと思いますが、なにせ彼の鬼畜には愛情が含まれているんですよね。私、愛のない鬼畜は好きではありません。物語の中とは言え、他者の人権を尊重しないような恋愛話は好きではないんですよね。ただ欲望を満たすような鬼畜は好きじゃないんです。


 安齋は結構愛情たっぷりですよ? 吉田くんのこと、好き好きオーラで溢れているじゃないですか。好き好きすぎて縛り付けたいっていうのが彼の愛情表現なんですよね~。鬼畜というよりは、溺愛系なんだと思います。この物語は溺愛系です!


 ということで、OGB楽しんでいただけたでしょうか? 結構BL的には、王道展開。素直じゃない主人公が、人の好さそうな別な男に騙されて貞操の危機。そこに登場する相手方。やっぱり「あなたが好き」って自覚して両想いになる——という。王道展開でございました。


 この二人につきましては、別物語でのその後があったり、本編が着々と進めば、続編も公開できるかと思いますので、その時はまた、お付き合いいただけると嬉しいなと思います。それでは、それでは。



令和3年6月29日 雪うさこ拝



 

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重症恋煩い 雪うさこ @yuki_usako

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