おさななじみ12k
バブみ道日丿宮組
お題:消えた慰め 制限時間:15分
おさななじみ12k
「明日暇……かな?」
帰り際彼女が問う。
「いつでも暇なのは知ってるでしょ」
幼稚園の頃から高校までずっと同じクラスという境遇は情報を筒抜けにする。
「でも、例外があるかもしれないでしょ? ほら彼女さんができたとか」
ちょっと気にした様子をしながら言うのであれば聞かなければいいのにとは思うが、
「今までもこれからもおそらくないさ」
笑いかけることにした。
「そ、そう。だ、誰もいなかったら私が付き合ってあげるからね?」
「それって慰めかなにか?」
言葉をつまらせる彼女が可愛く見えてちょっといじわる。
「ち、違うからね><」
そうと相槌を打って、僕は手を差し伸ばす。
「じゃぁ今から付き合おうか」
これからも末永く続くようにと願いを込めて。
「し、しかたないなーもう」
はにかむ彼女は世界中でたぶん一番可愛いと僕は思う。
この世界が永遠に続くというのであれば……。
「やっぱ気になる?」
「気にならないといえば嘘になるけど……今に始まったことじゃないよね?」
彼女と一緒にいれば必然的に視線を集める。黒に白が混じった髪の毛、猫のような愛くるしい小顔。どの部分を見ても幻想的に見えるのが彼女だ。
そうなれば、次に視線が集まるのは隣にいるものーーすなわち僕だ。
「ご、ごめんね。へんな髪の色で」
「謝らなくていいよ。いつも言ってるだろ、なれてることだよ」
幼稚園の頃このキレイな髪の特殊さでいじめられてた彼女をかばい続けてきたのは僕だ。
いろんな僕が彼女の側にいて、僕のいない彼女。そんな寂しい空間は想像できない。いつだって側にい続けたいとさえ願うほどに僕は彼女に魅了されてる。
「で、予定についてだけど、明日も明後日も空いてるからなにかあるのなら教えてほしい」
うんと頷いた彼女は僕の手を握り歩く。
「あのねーー」
そして肩越しに振り返る彼女の姿はその日の授業の内容が頭に入らないくらいキレイだった。
おさななじみ12k バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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