バブみ道日丿宮組

お題:純白の犯人 制限時間:15分

 もしもこの世に神様がいるなら……罪で裁かれなければならない


「お兄ちゃんご飯できた?」

 ベッドで横たわる妹が首だけを動かして僕の方を見た。

「今日はいいものが用意できたよ」

「お米の毒?」

「お米は毒がないから買えないしないよ。ただのタンポポだよ。僕たちの身体を構成してる毒の一つのね」

「そっか。私たちはたくさん作らないといけないものね」

 ゆっくりと妹は起き上がる。

「僕の作る毒は強くないからね。ーーにばかり面倒をかけてる」

「そのかわり私の手足になってくれてるからいいっこなしだよ」

 ベッドテーブルにタンポポをのせてく。

「普通のご飯が食べれればいいのだけど、僕たちには神様が許してくれなかった」

「学校行ってみたかったな」

「僕は少しだけ行ったよ」

 その言葉にぷくりと妹は頬を膨らませた。

「お兄ちゃんだけずるいな」

「たった1年だよ。今じゃ教育係のあの人のが長い」

「私と一緒だね」

 ご機嫌になった妹はタンポポを次々と口に入れてく。

「今回はより効率的な毒がほしいみたい。排出できるかな?」

「たぶんできるよ。毒たくさん食べたもの」

 にっこりときれいな笑顔を見てしまうと、神様はほんと残酷としかいえない。


 どうして人と同じ身体じゃないのか。どうして人と同じものを食べてはいけないのか。


 親は欠陥品だとも、高級品だともいう。

 けれど、家にはいつもいない。

 お世話係であり、教育係の執事しか残ってない。

 そんなあの人から聞いた内容はお金をふんだんに使って遊んでると。

「どうしたのお兄ちゃん? お腹へった?」

「違うよ。いいから全部食べるんだ」

 首を傾げた妹は数秒の空白後食事に戻った。

 産まれる場所が違くてもきっと僕らは毒を生み出すことしかできなかったし、守ってくれる人間も、神様もいないだろう。

 この世には秩序はあっても、平和はない。

 誰かが恨み、誰かが喜ぶ。そんな世界。僕たちは彼らの闇を動かす純白の処刑人。いつか本当にきれいな僕たちになるために、1人1人に毒を提供し続ける。

 そうすれば……きっと神様が本当にいるなら……助けてくれるはずだから……。

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バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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