時をかけてるつもりはない少女

きりこねこ

1

 13歳の夏に、宇宙船に忍び込んだ。宇宙船の中は、気狂いみたいな蒸し暑さと打って変わってひんやりしていた。

 学校でいじめてくるあいつが、父親が開発に関わった宇宙船に乗せてもらったのだとクラス中に自慢していたからでは無い、決して。


 船が出発してから、半日程で同乗していた大人にバレて、物凄い剣幕で怒鳴られ、忍び込んでから1日程で地球に帰ってきたら、地球は全部が変わっていて、まるで私は浦島太郎みたいだった。


 祖母は大往生を迎えてこの世を去ったのだ、と私の妹の孫であるという女性は言った。目の前にいる女性は、私の妹の孫。は?

 妹の墓は立派だった。遺影のお婆さんにはあの幼かった妹の面影はほとんどない。

 私を昨日まで苦しめていたあいつらは勿論とっくの昔に死んだ様だった。

 そもそも学校という制度は数十年前に廃止され、子供はみんな機械の力で脳に直接知識を送り込むようにして学習をするらしい。そのため、学習は短期間で済むようになり、私ほどの年齢の人の殆どは社会に出て働いているらしかった。


 私以外の全部が変わってる。


「私ミロって言います。よろしく。」

 妹の孫はミロと言う名前らしい。なんかココアみたいな名前ですね、と言ったら首を傾げられた。

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時をかけてるつもりはない少女 きりこねこ @kiriko05_

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