暑い日
バブみ道日丿宮組
お題:暑い14歳 制限時間:15分
暑い日
「アイスクリーム買ってきて」
ベッドに横たわる少女はいった。
「甘いものばっか食べさせたらこっちが先生に怒られるんだよ」
「いいじゃない。私が怒られるわけじゃない」
少女の回答に少年は深い溜息。
「買ってきてもいいけど、はやく治してくれよ。こうやって病院にくるのも面倒なんだよ」
「頼んだわけじゃないのにきてるのはあなたじゃない」
「こなきゃこなきゃで怒るだろ?」
少女はぷくぅと頬を膨らませる。
「学校の連中だってもうお見舞いにこないんだから少しぐらい俺のいうことを聞いてもいいと思うんだがね」
短いため息をつき、
「まぁそれで治ったら苦労もないか」
少年は窓へと視線をそらす。
「あたしだって治したいよ。でもお医者さんがね……見込みがないっていうから。それなら入院してる意味があるのってあたしは聞いたよ。そしたらあるようでないような反応だったわ」
一呼吸。
「病院に残ってるのはお医者さんの都合というよりはママたちの都合なのよ。学校で発作が起きたら怖いからって」
わからないわけでもないと少年は思った。
「はじめて発作が起きたのも学校だったしな」
「中学校の制服まだ数回しか着てない」
ため息が少女へとうつる。
「水泳の授業したかった」
「なんでだ? 男子から視線集めたいのか?」
ふふふと少女は笑った。
「あんたからの視線と評価をもらうためよ。ずっと一緒だったんだから成長くらいわかるでしょ?」
「まぁ……ぺったんだったころから知ってはいるさ。ただあれだぞ……この中はエアコン入ってるからいいけど、外は炎天下。歩くのですら暑さがうんざりするぞ」
「そういう感覚も忘れてきたかな」
少女はうつむく。
「はぁ……アイスだっけか。ちょっと売店行ってくるから大人しくしてるんだぞ」
病室から出る前に少年が振り返ると少女は少し寂しそうな笑顔をしていた。
暑い日 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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