第4話     終結

「おばあちゃん、この事件の真相が見えました」

「本当かい!?まさか、こんなに早く分かるなんてね」

 一樹はおばあちゃんに事件の真相を伝えるために、おばあちゃんのお孫さんと本屋のお兄さんを呼んでいた。

「少年達が事件を解決する現場に居合わせられることがこんなに幸せな事とは…」

 一人で興奮しているお兄さんを無視して一樹は話を始めた。

「今回の事件の犯人はお孫さんですね?」

「えっ、俺!?」

「はい、事件のあった日に駄菓子屋から出てくるお兄さんの目撃証言があったんです」

―――誰が言ったんだ

 お孫さんがぼそぼそと独り言を言ったので聞き取れなかったが、お孫さんはまっすぐ一樹を見た。

「俺の目撃証言をした人って誰ですか?ほんとにいました?」

「えっとー、目撃したのはですね…」

 一樹は猫が見たとは言えないため、言葉に詰まった。

「すみませんが、目撃証言をしてくれた人のことは事情があって言うことが出来ません。でも確かにありました。それに、トラックだって見られてるんですよ」

 一樹が言葉に詰まっていたのを見てホッとしたのか、お孫さんは言葉に力がこもっていた。

「そのトラックだって俺のトラックだっては言えないんじゃないですか?どうです、お兄さん?」

 急に話を振られたお兄さんは一瞬動きが止まったが、すぐに真面目な顔つきになった。

「確かにその通りです。僕はトラックを見ただけなので、お孫さんのトラックのナンバーだったかどうかはあまり…」

 お兄さんが言いにくそうに言っているのを見て、お孫さんはその場から退散しようとお店の外に歩き始めた。

「今回のことは気にしてないから、探偵団もがんばりなよ」

「ま、待って」

 お兄さんを呼び止めたのは唯だった。

「あの、ドライブレコーダーを見せてもらえませんか?」

 どんどん小さくなっていく唯の声は、最後の方は聞き取りにくかったが、伝わりはしたようで、

「えっ?」

 お兄さんはさっきまでの余裕のある顔とは異なり、明らかに動揺していた。

「そうだね!ドライブレコーダーさえ見せてもらえればお兄さんをこれから疑うことも無くなりますし、見せてもらってもいいですか?」

 みちるの小学生らしからぬ笑顔による圧力は大人でさえも恐怖を覚えるほどだった。

「えーーと、うーん」

 お兄さんは少しの間、うなっていたが覚悟を決めた様子で、

「ばあちゃん、申し訳ない」

 っと言った。

 こうして、探偵団は駄菓子屋の事件を解決した。



 一樹達が帰った後、お店に残っていたお兄さんはおばあちゃんの方をまっすぐ見た。

「それっぽくいうなら、今回の事件の黒幕はあなたですね?」

 おばあちゃんはチラっとお兄さんの方を見てから、

「はて、なんのことですかな?」

「隠さなくてもいいんですよ。だってそうでしょ、あなたのお孫さんがこの事件を起こす理由がない。嫌がらせとかなら分かりますが、それでもほかに方法はありますし、新しい商品の運搬を手伝ったら意味がないですから」

 微笑みながら言うお兄さんを見ておばあちゃんはふふっと笑った。

「私の演技は下手でしたか?」

「いやいや、演技は完璧でしたよ!僕も騙されましたから。でも、この事件は商店街で起こったのに誰も見ていないというのも不自然だと思いましてね。商店街の魚屋の主人もお仲間でしょ?」

「そこまでばれてましたか」

「最近元気が無かった、あの子達を元気づけようとしたんですよね」

「でもまさか、こんなに早く解決するとは私も思ってませんでしたけどね」

 自分の推理が当たっていたことを確認できたのでお兄さんはおばあちゃんに一礼してからお店を後にした。

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小さな探偵たち ミイ @miku4429

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