■あらすじ
「今夜二十二時頃、最も大切なお宝を頂戴いたします」という予告状が、
二代目怪盗ファントムの名で豪商ボゴール家に届く。
宝を守るべく、ボゴール氏から依頼を受けたのは、
初代怪盗ファントムとかつて知恵を戦わせた、
王国史上最高の探偵と評されるオーガスト・デポネの弟子・エリック。
二代目同士の対決の軍配は、果たしてどちらに上がるのか?
全29話。怪盗VS探偵の長編ミステリー小説です。
■おすすめポイント
(1)海外の推理ものを読んでいるかのような読み応え!
“怪盗VS探偵”という響き。浪漫ですよね?
この物語は、探偵サイドと怪盗サイドの視点が入れ替わりながら構成されていきます。その点で、通常の推理ものとはやや異なります。探偵サイドでは事件の解明に如何にせまるか。そして、怪盗サイドでは、如何に盗みをやり遂げたのか、あるいはなぜファントムになろうとしたのか、などが語られています。複数の視点から物語を読むことができ、逃げる怪盗と、追い詰める探偵のスリルをそれぞれの立場から楽しむことができます。
また、語られる文体も、海外の文学を読んでいるような文体で、物語の世界観を盛り上げてくれます。
(2)魅力的な怪盗ファントム
二代目怪盗ファントムの名を継いだのは、孤児院の若き院長・アデル。
白と銀の混ざった美しい髪、北方民族の血を感じさせる青い瞳。
少し擦れたような特徴的な声をした、
まさに女傑、という言葉がぴったりの賢く魅力的な女性です。
怪盗ということで、如何に鮮やかに、巧妙な手口で“盗み”を果たすのかというのもさることながら、彼女が何を思い、どんな経緯で怪盗たらんとしたのか?必見です。
(3)推理以外はダメダメな探偵エリックとお世話係のジョン
王国史上最高の探偵と評されるオーガスト・デポネの弟子、エリック。
趣味は革靴集め。
依頼で得た報酬を、すべて革靴の収集につぎ込み、生活費は計算の出来ない残念仕様。でもそれが良い味を出しています!
さて、探偵モノにつきものといえば、怪盗の他には……やはり、助手ですね。
エリックの幼馴染み(認識の齟齬はあるかもしれない)、領主の子息であるジョン。
二人の関係性が良いです!!
私生活はダメダメなエリックを、時に厳しくたしなめつつも見捨てないジョン。
なんというか、お世話係といっても良さそう……。
「足は二本なんだからたくさん買っても履ききれないしゃないか。わたしが何回きみの家賃を立て替えていると思っているの」
「えっと君に助けを求めたのは、先月に限った話だな」
「先月も先々月も……というか毎月だよ!」(本編より)
この会話からも、二人の関係性が窺えようかと思います笑
■こんな方に
☑怪盗VS探偵ものが読みたい方!
☑かっこいい女性が活躍するお話が読みたい方
二代目怪盗ファントムが狙うは、ナリルの涙。
そして消えた令嬢。
大衆の目がある中で、ファントムはいかにして狙うのか――?
給料を革靴やスーツに注いでしまう金欠系名探偵エリック。彼の師匠は、怪盗ファントムと何度も対決していた。
ある日、ファントムの名を継ぐものが、豪商ボゴール家から宝を盗み出すことを知る。事件の捜査に乗り出すエリック。いろいろと欠点が多い探偵を、幼なじみのジョンはカバーしていく。
一方、慎ましく孤児たちと暮らしていた女性アデルは、養子縁組が決まったジェシーからSOSの暗号を受け取る。
ジェシーを引き取ったレーボルク家は、自分の工場で子どもを強制労働させていた。その工場は、非認可で酒造をしていた。
レーボルク家に懐柔され、弱者を助けてくれない警吏。衛兵を動かすためお金が必要だとわかったアデルは、亡き恩師の後を継ぎ、二代目ファントムとなることに。
そしてその仲間のティナは、ボゴール家の令嬢クラリスの侍女として潜入した。
それぞれの師匠の跡を継いだ二人の、騙し合いと謎解き。
謎と革靴とスーツにしか興味のない探偵×孤児たちを守るために日陰者となった怪盗の対決はいかに?
そして、令嬢クラリスによる、ある"賭け"の行方は――。
舞台は19世紀を彷彿とさせる異世界のとある町。とある富豪のもとに二代目ファントムと名乗る怪盗から「毎年娘の誕生日会にお披露目されているお宝を頂戴する」という予告状が届く。そこで富豪は「初代ファントムと対決したことのある探偵」の弟子に怪盗対策を依頼するが、この事件には複雑な事情が隠されていて……?
まず、二代目ファントムの正体がとてもかっこいい!
ファントムを支援する多彩な面々の活躍も楽しい。
探偵とワトソン役の幼なじみとのやりとりは軽妙で笑えます。
しかしなんといっても、怪盗と探偵の駆け引きが見事です!
ホームズや黒蜥蜴のような、クラシックな雰囲気の「怪盗VS探偵」ものをお探しの方はぜひ!