第12話 朝ご飯

「ねー私とラムちゃんってあんまり変わらないよね?」


「ちょっとまってよ!それだと僕が女っぽいみたいな言い方じゃないか!訂正してよね!」


ラムは唇を尖らせ私を指差して反論した。人を指差すなんて礼儀がなってないぞラムちゃん。


「ねー、アレンとユトはどう思う?」


そんなラムちゃんを無視して私はアレン達の方にも聞いてみた。最初から第三者に聞いていればよかったのだ。


「うーん、そうだな…」


アレンは私の質問に対し真剣に考えようとしてくれた。私としてはラムちゃんの言葉遣いは見た目に反して可愛らしいため、二人とも変わらないと即答で答えてくれると思って聞いていたためこのシンキングタイムは予想外だ。


するとアレンの奥からユトはいつもの笑顔でピョコリと顔を出した。


「え?そんなに悩む?」


「ユト!ユトはどう思う?私とラムちゃんってどっちも変わらないよね!」


ユトはアレンの考える様子とは対象的にすぐに答えてくれた。

「うん、そうだね。二人とも変わらないよ。」


「やっぱり!ほらね!」


私はラムちゃんと変わらないと言われただけで、何かに勝ったというわけでもないのに腰に手を当て自慢気に言ったのでラムちゃんは悔しそうな顔をした。


すると考え込んでいたアレンはやっと回答が出たらしく分かりやすく手をポンとして答えてくれた。


「あ!アレンもユトと同じ意見?」


「あぁ。二人とも落ち着きのないところが似ていると思う。」


「待ちなよ!ベルは落ち着きないけど僕はそんなことないよ!訂正しろアレン!」


「もう!それだと私だけが落ち着きないってことになるじゃん!私落ち着いてるもん!」


「はぁー!?ベルのどこが落ち着いてるってのさ!」


アレンの素直な毒のある回答により私とラムちゃんはお互いに指差して自分の意見を主張しようと声を大きくして言い合いになってしまった。


アレンは自分の言葉で二人がうるさくなっていることに気づかず食事に戻りスープに手をかけ、ユトはそんなアレンの様子を見て「これ僕が止めないといけないのー?」と助けを求めた。しかし本当にアレンは二人が言い争っている理由に気づいておらず、ユトはアレンに期待することをやめた。


「テイッ!そこまでだよ。」


ユトは私とラムの頭をチョップして言い争いを止めた。


「イテッ!」

「痛っ!」


「どっちがとかそんなのそもそも僕ら最年少で年齢もあんまり変わらないんだから気にしなくていいよ。ねーアレン。」


「あぁ。」


ユトはアレンにも同意を求めて私達は変わらないと言ってくれた。しかしながら私としてはラムちゃんとはあまり変わらないと思っているが、アレンやユトは私達より少し大人びていると思っている。そのため私は少し迷った。しかしこれ以上話していては朝ご飯が長引いてしまうので納得し、私が納得するとラムちゃんも引き際を見つけたように納得した。


「じゃあ、ごちそうさま!」


私はちゃっちゃと最後のスープを飲み干して食器をまとめて三人を置いて席を立った。


「えー!ベルもう食べ終わったの!?」


「ふふふ、ラムちゃんは食べるのが遅いんだよ」


ラムはまだパンも半分残っており4人の中で一番ゆっくり食べていた。


「僕はご飯をゆっくり食べるのが好きなだけだ。遅いわけじゃないんだからね!」


「でも早いなベル。俺の方が先に席について食べていたのに」


私はご飯を食べ終わったあとにシスタームルの部屋に行く予定がある。もう部屋で待っていると思うのであまり待たせるわけには行かないので早く食べたが、私もラムちゃんと一緒でご飯はゆっくり食べるほうが好きだ。しかし今日ばかりは急いで食べた。


「まぁ、ちょっと用事があってね!それじゃっ」


そして私は不思議そうな顔をする事情の知らない3人を食堂へ置いて、シスターの部屋へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

多神教者の私は神に溺愛されてるはず あんよ @yosann30

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ