お見舞い少女
バブみ道日丿宮組
お題:許せない14歳 制限時間:15分
お見舞い少女
学校でぼっちになるのは日常的で会話に交じるということは頭にない。
どこかのグループに入れればまだ話は違ったんじゃないかと思うのだが、病弱なため頻繁に学校を休む、早退するを繰り返してれば必然的に人との繋がりはなくなる。
そうだというのに……、
「こ、んにちわ?」
「はい、こんにちわです」
なんと女学生が我が家を訪れてた。話したことないけど、クラスで見かけてた顔だ。
「今週のプリントです。あと課題もいくつか」
「ありがとうございます」
何枚かのプリントと、課題と書かれたものを受け取る。
かなりの量だ。
「それでどうしてうちに? 学校からの依頼ですか?」
「いいえ、個人的に気になったものでこうしてるまでです」
彼女は首をふる。
「クラスで誰かがいないってのは悲しいものです。それも気づかないなんて許せないです」
拳を作る彼女の表情は真剣そのものだった。
「ほんとだったら学級委員長がすることなのだとは思うのですが、個人的にやらせてもらうことにしました」
「学級委員長も放っておけばいいって思ってるんだと思いますよ。学校も特別扱いしないですし」
「それはそれじゃないですか。身体が弱い人はなにしたって弱いじゃないですか。わたしなんかよく手をきります」
差し出された右手は確かに切り傷が多かった。
もしかしてこれはいけないやつなのではと頭によぎらせてると、
「紙できれたり、包丁でちょっと失敗したりしてるんですよね。母は不器用だからしなくてもいいっていうんですが、やっぱりなんとかしたいなって思って」
なるほど、そういう傷か。僕とは違った傷つき方なんだな。
「だからわたしがやろうと思いました。自分も傷つきやすいなら、そっくりさんかなって」
はにかむ彼女の顔は優しかった。
「でも、個人的なのは特別に思うこともあるからです」
「と、いいますと?」
なんだろうか。
「わたしあなたに恋してるかもしれません」
頬を赤らめられた。
「えっ……とそれは……? 告白かなにかでしょうか?」
「そういう意味でいえばそうなのかもしれません。自分に訪れた変化がいまいち理解ができてないです。でも、こうしてあなたの側にいるのはいい気分になります」
「……そうですか」
どうしよう。告白なんて14年間一度もされたことないんですが!? いや……あれだよね? 病気で幻聴とか……だよね?
「元気になったらわたしとデートしてください。それでなにかわかるかもしれないです」
「は、はぁ……イイデスケド」
わからない。わからないぞ、この空気!
悪い気はしない……悪い気はしないけど、どうすればいいんだ。
「じゃぁ約束ですよ」
彼女は小指を向けてきた。
何年ぶりかわからない指切りをした僕は、そのあと熱を出してしまい次の日も休んだ。
彼女はそれから何度も家に見舞いにきてもらい、僕は彼女という人物を理解した。
そしてデートの日になった。
お見舞い少女 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます