料理というなにか
バブみ道日丿宮組
お題:昨日食べた墓 制限時間:15分
料理というなにか
俗に言う食欲というのは何をもってそういうのか。
高校生最後の夏を迎えた今、僕は昏倒しそうだった。
出されたものはきちんと食べなさいと母がよく言ってたものだが、食べ物ではないものが出てきたらどうすればいいかは言ってなかったな。
「熱いうちに食べてね」
「お、おう……」
食卓に並んだのは、小さなお墓というか墓石。
つまり……ただの石。いや、高熱を放つ石とでもいおうか。
何にしても食べ物じゃない。
つけめんのスープを温めるために投入されるのであれば、まだ救いはあった。
が、幼馴染が出したものはそのままだ。
「大丈夫! 見た目なんてただの見た目だから」
一番そこが重要じゃないですかねっ!?
た、確かに昨日出された墓という名のクリスタルは肉だった。どう料理したらそうなるのかわからないが肉料理ではあった。
あったが……、食べ物に見えるかといえば、間違いなくそれはないといえる。
「石を食えっていうのか?」
「石じゃないよ! あんまんだよ!」
これあんまんだったのか!
てっきりつくねとかウィンナーのたぐいかと思ってた。
予想以上! 幼馴染恐ろしい!
伊達に全国芸術料理コンテストで優勝するだけのことはある。
「もっと美味しそうに作って欲しいのだけど……?」
「これだって美味しそうだよ? ほら、黒光りする太くて長いのっていいでしょ?」
「疑問形で返されても……ね?」
どうしろというのか。どうしようもないね!
「これ固くないんだよね?」
「試しにつついてみたら」
言われるがままに黒いぶったいに箸をいれる。ずぶりという音はでないがすんなりと箸の先端が吸い込まれた。とても窮屈そうに見える箸をぬくとどろりと何かが飛び出てきた。
「あんこじゃない!?」
「白いあんこだよ。ねばねばしてていい匂いがするんだ」
ねばねばしてて匂いがすると聞いて、頭に嫌なものがよぎったが考えないことにした。
「ほら、あーんしてあげる」
幼馴染があんまんらしきものを手に取ると、ゆっくりと僕の門前へと向ける。
どうやら逃げ場はないようだ。
料理というなにか バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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