第3話 思い出と脳

そこそこポーカーフェイスにも慣れてきた頃またあいつがオカルト云々の話をもちかけてきたので適当に受け流して今朝の余韻に浸っていた。校内一の美女と話が出来たのだ。舞い上がって当然だろう。ついつい目だけで彼女を追ってしまう。しかし横のゴロツキにも似た取り巻き達と目が会いそうになり急いで視線を外す。そんな事を繰り返してるうちに気がつけば話の山場だったらしい。

「っておい聞いてるか?」

「おん。あれだろ?カタツムリは両性具有の話だろ?」

「一つもしてねぇよ。だからこの世界はたくさんの波の上を通ってるだけで波の裏側に行けば簡単にパラレルワールドに行けるってことだよ。だから例えば自分しかいない世界とかもしくは少しずつズレてる世界とか」

こいつの話も真面目に聞いたことはあまりないのだが『自分しかいない世界』というワードに引っかかり興味をそそられた。なにせここ数日頭を悩ませてる種でもありある意味幸福の源でもあるから。

「なぁ、そのパラレルワールドって実際なんなの?」

「珍しいな。お前から質問してくるとは。今から説明するからよく聞けよ?」

と、なんとなく長い話をされ昼休みが終わったのだ。要するにパラレルワールドと呼ばれるもうひとつの可能性の世界はいくつもあり分岐点が違えば勿論そこは違う世界となっているらしい。

誰が証明するんだそんなもん。

まぁとりあえず夢について深く考えるのはやめようと思った。知らないものを考えても答えは出ないし調べても小難しいノンレムだかレムだかの睡眠のなんたらかんたらでって分からないことは素直に分からないでいいと思う。とりあえず今は楽観的に今朝の彼女と今後の彼女との進展への妄想に脳みそを使おう。

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また夢で会おう。 二朗 @jiro-yan

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