第2話 宇宙と脳
宇宙と人の脳は似ているらしい。そんな突拍子も無いことを朝からテンション高めに説明されるとうんざりするのだが彼はオカルトが絡まなければ基本的に良い奴なので関係を崩さないように適当に相槌を打っていた。なんでも宇宙の写真と脳の神経の画像はとても似ているらしいのだ。まぁ何となくで聞いていたので詳しくは分からないのだがその友人に言わせるとこの世界は誰かの夢の中だそうだ。確かに神と呼ばれる人達が仕事をしている所を俺は見たことがないのでその説は何となく好きだった。ただそれ以上に昨日見た夢の事で頭がいっぱいなためそれ以上の情報は俺の脳が受け付けなかったらしい。気がついたら学校に着いていた。
学校に着いてまず俺は図書室へと足を運んだ。ここ数日の同じ夢の正体が分かるかもしれない。そんな淡い期待を胸に490番辺りを探していたのだがあまり目当ての本が見当たらずついため息が出てしまった。「なにか探し物?」ため息を聞いていたのかは分からないがクラスの女子の田中小春さんが話しかけてきた。彼女は3年連続図書委員で○○坂とか言うグループに入ってもやっていけそうなルックスと類まれなる人の良さでクラスで絶大な人気を誇っている。そんな彼女に話しかけられたとあれば動揺するのが男子高校生というものだ。「あ、いや、探し物と言うか…」声は裏返るし言葉も詰まる。大変恥ずかしい思いをしながら本を探しているフリを続けていると「さっきから熱心に本棚見てるからなにか探してるのかなって、だってほらここは医学とかだし?気になるじゃん」気になるじゃんの言い方が大変可愛いのはさておきこの誰とでも気さくに喋れるのも彼女の人気の秘密であろう。優しさには誠意で答えねばならないと謎の思い込みで「あー、夢とかについて書いてある本ってどこにあるか分かる?」と、聞いてしまった。あー美人とは罪なものだ。「『夢』とかならあっちの方じゃないかな。」と指差しで教えてくれたのでお礼を言いそこの本も見てみたのだが自分が欲してるものは無さそうだったがなんだか申し訳ないのでコンビニでトイレ借りたらなんか買うみたいな感覚で1冊借りることにした。受付も彼女がやってくれたのだが一挙手一投足が美しいのはやはりずるいと思う。「またね」なんて言われた日には顔の筋肉は原型を留めないだろう。あの時は危なかった。
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