第9話 木更木 亮平 の過去

ある日の休日。




〜 亮平 side 〜



コンコン


彼女・悠菜ちゃんの部屋のドアをノックする俺。



「悠菜ちゃん?」




「………………」



反応がない。



「まだ寝てんのかなぁ〜?」



俺はドアノブに手をかけた。



カチャ


内側から鍵が掛かっているはずのドアが開いた。




「…えっ…!?」



俺はいけないと思いつつ部屋に入る事にした。




「…鍵掛けろよ…何の為の鍵だよ…全く…」



「………………」



俺はベッドに歩み寄る。




「…可愛い寝顔…」



俺は寝ている彼女の頬を突っついた。



「…ん…」


「悠菜ちゃん、起きて」


「…う…ん…?」




彼女はゆっくりと目を開ける。



「…亮平…君…?」




まだ意識がハッキリしてない中、彼女はゆっくりと体を起こした。




《幻…?…夢…?》




私のオデコに何かが触れた。


俺は彼女のオデコにキスをした。




「……!!」


「おはよう。眠り姫。お目覚めですか?お姫様」



私の視界に入ってきたのは優しく微笑み、私を見つめる亮平君の姿があった。



「…亮…平…君?えっ!?何で!?どうしているの?鍵…」


「掛けてなかったけど?」


「えっ!?」




「………………」




「でなきゃ俺は、ここにいないと思うけど?違う?」


「違わない…ごめん…」


「いや…謝るのは、むしろ俺でしょう?」


「えっ?」


「だって…俺…」



グイッと手を掴み引き寄せる亮平君。



ドキッ




『ある意味、不法侵入じゃね?』




ドキッ



「……!!」



寝起きの私の胸が大きく跳ね、更に目が覚め、ドキドキと胸が加速している。




スッと離れる亮平君。




「鍵は、きちんとかけようね。悠菜ちゃん」


「う、うん…でも…寮生しか出入りしないから大丈夫だよ。現に何もなかったし!ていうか私に色気感じないでしょう?」


「色気あるとか、ないとか、そんな事よりも女の子だって事、もっと自覚しろよ!」




《あ…怒っちゃった…》




「過去に不法侵入で泥棒が入った事だってあるんだから、もっと意識しなよ!分かった?」


「…うん…」


「よろしい!」




頭をポンとされた。



ドキッ



「それより出掛けない?」

「えっ?みんなで?」

「いや。あいにくみんなはいないよ」

「えっ?いない?」

「うん。だから二人で出かけようと思って。デートしよう♪」



「デートぉっ!?」



「うん。フレンドデートだけど。悠菜ちゃん、休日は、いつも寮にいるみたいだし。それに最近、色々あって悠菜ちゃんとの時間がなかったから。恭吾君がいつも用心棒してくれてたみたいだから」


「それは……」


「着替えておいで。食堂で待ってるから」


「うん…分かった」


「後、スカート禁止だからな!」


「えっ?あ、うん…分かった」



私は準備をした。




「ごめん…亮平君。待たせちゃって…」


「大丈夫だよ。計算済だから。それに急な話だったし。それじゃあ、行こうか」


「うん」




私達は出掛けた。



向かった先は遊園地だ。




「遊園地?」

「うん。乗り物とか大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ」

「良かった」




私達は園内に入って行く。


色々な乗り物に乗り私達は、まるでカップルみたいに過ごす中、観覧車に乗っている時の事だった。




「悠菜ちゃんに知って欲しい事があるんだ」

「うん。何?」

「俺、こんな感じだけど、本当はイジメられてたんだ」


「…えっ…?」




意外な言葉に驚いた。




「本当は、全然強くなくて…弱虫で…情けなくて…。正直、恥ずかしい話。寮生になったのも男子校に通う事にしたのも、誰も知り合いがいない所が良かったから」


「亮平君…そうだったんだね」


「こんな俺を好きになってくれてありがとう!」




ドキン


笑顔を見せる亮平君に胸が高鳴る。



「そんな…。私こそ話してくれてありがとう!」


「悠菜ちゃん…」


「誰だって色々あるよ。でも、亮平君は亮平君でしょう?私はどんな亮平君でも好きだよ!……あっ!」




私はサラっと自分の想いを言ってしまい恥ずかしくなり赤面した。


例え気持ちがバレていたとしても、いざ、告白してしまうと恥ずかしいものだ。




「わわ…ご、ごめん…!今のなし!」



私は両手で顔を隠した。




「撤回しないよ」


「撤回して!聞かなかった事にして!」


「出来るわけないじゃん!」


「出来る!」


「…出来るわけねーだろ?」




ドキン


私の両手を退かし、押さえつけると私の唇に亮平君の唇が気付けば重なっていた。




《…えっ…?》




唇が離れ、至近距離で見つめ合う私達。




「俺も…悠菜が好きだから」




ドキン



「…えっ…?…今…」




《好きって…?しかも呼び捨てにしてくれた?》




「その反応…可愛すぎだから…。正直…悠菜よりも好きになったの早かったと思う」



そう言うと、離れる。



「えっ!?」


「俺、多分…悠菜に一目惚れに近かったし…」


「嘘…」


「でも…自分に言い聞かせてたんだ。だけど…悠菜に何かあった時の思いは、マジ助けなきゃって…すっげー、焦って…何かあったらどうしよう?とか…そんな事ばっか考えて…」


「…亮平…君…」


「悠菜の事は、自分の事を話すまでは適度な距離を保とうって…バレないようにしなきゃって…。改めて言うよ。悠菜…俺と付き合って欲しい…」


「…亮平…うん!」



「………………」



「…亮平…?」


「マジ可愛すぎ…!いきなり不意打ちの名前呼び捨て!?」


「えっ…?駄目だった?」


「駄目じゃなくて、むしろ嬉しいんだけど!」


「クスクス…可愛い♪」


「可愛いって言うな!」


「今日から色々な亮平が見れるね」


「そうだな。恋人同士になった以上、悠菜がまだ知らない俺見れるかもな!」





私達は観覧車を降りると、私達は恋人繋ぎをする。



そして、人目のつかない場所に移動する。




グイッと壁に押し付けると、キスをする亮平。



「今日から悠菜は俺が、一人占め!」




ドキン



「悠菜の全て、これから見せてよ。勿論、俺も悠菜に全て見せるから」



そう言うと深いキスをされる。


慣れない私は戸惑う。



「可愛い〜♪」

「馬鹿っ!」



私は恥ずかしながらも言う。


亮平は再びキスをすると顔の向きを変え、何度もキスを繰り返す。




「ヤベー…理性失いそう…」

「えっ!?」



顔を赤くしている亮平。



「か、帰ろう!」

「そ、そうだね…」



私も頭がおかしくなりそうだ。


多分、二人共、顔が赤いかもしれない。




そして、寮に帰宅する私達。


既にみんな帰宅。




「二人でデート?」と、恭吾君。


「うん」と、亮平君。


「そうなんだ」



私達の肩を抱き寄せるように3人で肩を組むようにする恭吾君。



「相思相愛!寮生から可愛いカップル誕生だ!」


「えっ!?恭、恭ちゃん!」


亮平君が焦る様子が伺える。



「幸せオーラとラブラブオーラが半端ないよ。亮ちゃん」



「えっ!?」と、赤面する亮平君。



「クスクス…恭吾君は勘が鋭いから!」


「悠菜が、言うなよ!誤魔化そうとしても悠菜も顔に出てるし!」


小声で言う亮平。




ドタドタ……



バタバタ……




寮生のみんなが、玄関に駆け寄る。




「カップルぅぅっ!?」と、竜神君。


「嘘やろっ!?」と、康介君。


「本当なのか!?」と、零一君。



「悠菜ちゃん、みんなのアイドルだから、みんなショックを受けてるよ」


恭吾君が言った。



「えっ?ア、アイドル?」と、私。



「悠菜と亮ちゃんが…カップル?」と、竜神君。


「うん!悠菜と俺!告白して、めでたく付き合う事になりました!」



そう言いながら肩を抱き寄せた。



《わわ…》



顔が赤くなったのが分かった。




「ホンマや!悠菜ちゃんから、悠菜の呼び方に変わっとるやんけ!」


「そのラブラブさに嘘という文字はなさそうだな」


零一君。



「じゃあ、悠菜は、今日から亮ちゃんのものかよ!」


竜神君が言った。



「…そうなんや…」と、康介君。


「悠菜と絡むには亮平の許可がいるな」と、零一君。


「許可って…」と、私。




「悠菜…鍵掛けとかねーと、夜這い来るから」



耳元で周囲にバレないように言う亮平君。



ドキーッ


かああああ〜っ!と、一気に体が熱くなる。



「悠菜っち、どうした?」と、竜神君。


「顔、赤いで?」と、康介君。



「…だ、大丈夫…へ、部屋に行こうっと」



私はあがり自分の部屋に移動する。





ドサッとベッドにダイブするように、うつ伏せに倒れ込んだ。



亮平との遊園地での出来事が記憶に蘇る。



「本当に…両想いになって、私の彼氏になったんだよね…」



《全てとかって…》

《つまりそれって…》




グイッと私の体が半回転したかと思ったら両手を押さえつけられた。




ドキーッ

私の胸は大きく跳ねた。



「……!!」


「亮…」



キスされた。



「悠菜…無防備過ぎだろ?何考えてたのか知んねーけど…油断してたらマジ、今日中に全て奪っちゃうけどいいわけ?」



ドキッ


胸が大きく跳ねる中、私の胸はドキドキ加速していく。




グイッと引き起こすと頭を凭れかけさせた。



ドキン



「とは、言っても、すぐには手は出さないから安心しな。悠菜は、心の準備が必要だから」


「亮平…」


「だけど…鍵はマジ掛けときな」


「うん…」



そう言うと、キスをした。






それからというもの、相変わらずで、いつでも何処でも恭吾君と亮平君に弄られるのは言うまでもなく………


二人に限らず、寮生のみんなには弄られっぱなしの私がいた。






〜 E N D 〜







































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パラダイス学園 〜 木更木 亮平 編 〜 ハル @haru4649

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