第8話 進級、特別に

無邪気だったり


クールだったり


コロコロ変わるあなたに


どんどん惹かれ


はまっていく



私は


あなたの


特別になりたい………



あなたの特別な女の子に


なれる時ある




―――高校2年生



亮平君と恭吾君と同じクラスになった。




「悠菜ちゃん、今年もよろしくね!」と、亮平君。


「うん!宜しく!」


「珍しい組み合わせのような気がするんだけど〜」


恭吾君が言った。



「そう?」と、私。



私は、一人にならないだけで十分。


また今年も亮平君と一緒というのが何よりも嬉しい。



私は恭吾君にイジられる一年になりそう。


そう思う自分がいた。



ある日の事。



「亮平、今日付き合って」

「分かった」



クラスメイトの男子生徒に誘われている亮平君。


社交的で友達の多い亮平君は、昨年に比べて忙しそうだ。



2年になって出掛ける事も、話す事もなくなった。




―――ある日の事―――




「あっ!いた!」

「えっ?」



恭吾君と正門を出た時の事だった。



「今日は別の男?」

「えっ?ち、違…彼は…」

「友達だけど?」

「友達?木更木は?」



「あー、亮ちゃん?一緒じゃないし〜」

「だったら呼び出すまでだ。二人には付き合ってもらう」


「俺達もそんな暇ないんだけど」

「ごちゃごちゃ言ってねーで付き合いな!」

「どうしても付き合わなきゃ駄目なのかなぁ〜?」

「そうだよ!」

「分かったよ。じゃあ付き合ってあげるよ〜」




そう言う恭吾君。


その直後だ。




ドカッ




ドサッ


ドサーーッ





一人の相手を回し蹴りをし、二人纏めてドミノ倒しみたいに蹴っ飛ばした。


一瞬の出来事だった。



《えっ!?強っ!》




そして私の手を掴み、恭吾君は走り出す。




「恭吾君!?」

「何?」

「今…一瞬の出来事過ぎて…」

「そう?」




そして、曲がり角に身を潜め恭吾君は抱きしめるようにした。



ドキン


胸が大きく跳ねる。




「しばらく静かにしてちょっと我慢してて」

「う、うん…」



「くそっ!彼奴等、何処に行きやがった!?」



通り過ぎる彼等。


何とか逃れたかと思い、顔を出すと見つかってしまった




「あーあ、見付かっちゃった〜」


「残念だったな!つーか、“鬼ごっこ” とか “かくれんぼ” とかしてる訳じゃねーんだよ!」


「そんな事は分かっているけど……ていうか…目的は何かな?」


「良いから付き合いな!」

「良くないから付き合いたくないんだけどな〜」

「お前、いちいちムカつくんだよ!」

「俺の性格だから」



「チッ!」



舌打ちする相手の人。



私達は取り敢えず移動する事となった。


亮平君には恭吾君から報告済みとの事だった。




とある廃墟。


以前とは違う場所で私達を捕まえた人達と以前と同じメンバーの中に更に人数が増えている。


後ろ手で結ばれているロープに身動きが取れない。




そんな中――――




「よし!OK〜」

「えっ!?ええ…」



口を手で塞がれ、しっ!という仕草をする恭吾君。



しかし、大声で叫びたくもなる。


同じ状況にいた私達なのに恭吾君は自分でロープを解いていたのだ。


私のロープを解く恭吾君。


私は自由になったものの、恭吾君の行動は謎だ。


私達は大人しくしている中




「恭吾君!悠菜ちゃん!」

「来たぁ〜」



「二人を解放しろよ!」




ドキン




《亮平…君…》




「お怒りの亮ちゃんだ〜」

「えっ?」



《…もしかして…恭吾君…》



私は恭吾君を見つめる。


その視線に気付いたのか振り向く恭吾君。




「何?」

「えっ?あ、いや…別に…」



目をそらす私に対して、クスクス笑う恭吾君。



「何で笑うの?」

「分かり易い反応だなぁ〜と思って」



「えっ!?」



「亮ちゃん、時と場合によって、人格変わるもんね〜。と、言うより変えるから。無邪気な亮ちゃんと、さっきみたいな亮ちゃん。そして…悠菜ちゃんは、そんな彼が大好き」



ギクッ


図星だ。



恭吾君にはバレてたんだ。




「だけど、他の寮生みんな知らないから。俺と悠菜ちゃをだけだと思うよ」


「そうなんだ」



「本当は無邪気な亮ちゃんで、ずっと通したかったけど、他校生に絡まれた時、悠菜ちゃんの前で、もう一人の自分を出さなきゃいけなくなった」



「………………」




「…だけど…もう一人いるんだ。亮ちゃんみたいな人」



「えっ…?」



「今、悠菜ちゃんの目の前にいる俺」




そう言うと私を安全な場所に移動させる。




「じっとしてて。だけど、もし彼等に見付かったら大人しく指示に従って!無理したら駄目だからね」


「う…うん…」




恭吾君は亮平君の所に行き、相手 対 二人のバトルが始まった。




二人の姿に見とれていると――――




グイッと誰かが私を捕まえた。




「きゃあっ!」

「悠菜ちゃん!」



二人が声を揃えて言った。



「は、離してっ!」

「離すわけないじゃん!」




私は、抵抗し暴れ、偶然に相手の顔に手が当たってしまい後退りをすると二人の元に駆け寄った。




「無理しないの!」

「無茶すんなよ!」




二人に怒られた。



そして今度は彼等をロープで結ぶ。



「これ以上、俺達に関わんなっ!特に彼女には2度と近付くなっ!」


「わ、分かった……」


「もし…今後、彼女に近付いたら、俺、マジ許さねーから!」




ドキン



「あ、ああ。約束する」




私達は、帰る事にした。





















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