第7話 秘めた想い

「悠菜ちゃん!」


名前を呼ばれ振り返るとそこには亮平君の姿。



ドキッ


「亮平君」



私は一人学校の屋上にいた。


金網に寄りかかり、ぼんやりとしている私の方に歩み寄る亮平君の姿があった。



「どうかした?教室にいないから探したよ。元男子校なんだから単独行動は控えた方が良いよ」 


「うん、そうだね」




ガシャン


金網を背に道を塞がれた。



ドキッ



「好きな男の事でも考えてる?」

「…えっ…?」



片頬に触れる亮平君。



ドキン


「大体の予想はつくけど」


「えっ!?」


「今、君の目の前にいる俺こそが気になる相手…違う?」



ドキッ



「それは…」


「悠菜ちゃん分かり易いから。薄々気付いているし素直になって良いから」


「亮平…君…」



ポンポンと頭をする。



ドキン



「もっと自分出して良いと思うよ。ただ、悠菜ちゃんの事は嫌いじゃないけど、悠菜ちゃんは、みんなのマドンナだから独り占め出来なくて」


「…亮平君…」





グイッと引き寄せ抱きしめられた。



ドキン


「亮…」



オデコにキスされた。



ドキッ



「本当はサービスして唇にしてあげたいけど…」



ドキッと胸が大きく跳ねる中、かああああ〜っ!と顔が熱くなった。



クスクス笑う亮平君。



「顔真っ赤だよ」


「し、仕方ないじゃん!」


「さあ、次の授業始まるよ。教室に戻ろう」


「うん…」


「悠菜ちゃん、そのままで良いから。俺の隣にいてもらって良いよ」


「うん…」




その日の放課後、靴箱の所で―――




「亮ちゃん、悠菜、街に行こうぜ!」


竜神君が声をかけてきた。



「俺もー」



康介君が竜神君の背後から駆け寄って来る。




「相変わらずだね」と、私。


「学校終わって真っ直ぐ帰宅って…ありえないから!学校終わって遊びに行くのが定番だろう?」


竜神君が言った。



「そうだけど…。絶対とは限らないよ」と、私。




グイッと肩を抱き寄せる竜神君。




「きゃあっ!」


「悠菜は用事ない限り絶対に街出ねーだろ?」



竜神君が言った。



「当たり前じゃん!私にはボディーガードが必要なの!」




ペシっとオデコを叩かれた。




「痛っ!打つな!」


「ボディーガードはいらねーの!俺達がいるから俺達の誰かに声掛ければ良いじゃん!」


「そうやな?俺達が悠菜を守ったるで!」


「とにかく今日は寄り道コース!行くぞ!」




竜神君は強制的に連れ出し私達は街に出た。




数時間後、帰ろうとした時だった。



「あっ!そういえば…ごめんっ!ちょっと寄りたい所あるから先に帰ってて」



「あっ!おいっ!悠菜!」と、竜神君。


「悠菜ちゃんっ!待っ…!竜ちゃん、康ちゃん先に帰ってて!俺が悠菜ちゃん連れて帰るから!」


「分かった!」


「頼んだで!」



そう言う二人に、亮平君は私の後を追った。


そうとは知らない私は小走りで向かっていた。




「悠菜ちゃん!」


「きゃあっ!」


「昼休みに言ったばかりじゃん!」


「えっ?あっ…亮平君!?」


「単独行動するなって!」


「…ごめん…急に思い出しちゃって…」


「全く!」




私は亮平君に付き合ってもらった。





ある日の放課後――――



「悠菜ちゃん、街行かない?何か予定ある?」


「亮平君。ううん、大丈夫だよ」


「じゃあ、行こう!」




と、その時だ。




グイッと背後から私達と肩を組むように抱きつかれた



「きゃあっ!」

「うわっ!」


「俺達も行く!」


「えっ?竜神君?」


「ええーっ…!女の子だけで良いし」



「じゃあ俺達、女装しま〜す!」と、竜神君。


「ええーーっ!もっと嫌だし!」




私達は騒ぎながら、結局、いつものメンバーの4人で街に行くことにした。

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