重いメッセージ

バブみ道日丿宮組

お題:重い嘘 制限時間:15分

重いメッセージ

 その連絡をもらったのは、授業中。

 簡素なメッセージアプリで、『赤ちゃんできちゃった』と書かれてる。

 思わず顔をあげて、その相手を見るが、てへぺろと、舌を出してこちらを見てた。

 すぐに彼女は黒板へと顔を戻すが、

「……まじか」

 俺はそうはいかなかった。

「ーーくん、どうしましたか?」

 集まる視線。

「いえ、なんでもないです。授業続けてください」

 立ち上がり、お辞儀。そして着席。

 起こるたくさんの笑い声。

 さてどうしようか。

 はじめての時以外、避妊はしてたはずで……。

 それが着床したとは思えない。日数的にこのタイミングでということにはならない。

 一発妊娠なんて……絶対ないとはいいきれないが、ないだろう。

 そのあとも毎週いろいろな場所で彼女とは性行為をした。

 となると、場所が悪かったのだろうか?

 更衣室、プール、体育倉庫、教室、音楽室、美術準備室……。

 もしかして若いとはいえ、少しハッスルし過ぎなのか? いや……気持ちいいことは素晴らしきことだ。彼女もはじめての頃と比べてだいぶ感じるようになったと話してくれたし、したいっていっても断るようなことはしない。

 だからって、欲望に支配されるがままレイプのようなことはしてない。

 いつだって、紳士的に。

 それが俺と彼女の付き合い方だ。

「……」

 たくさん思考した結果。

『一緒に病院にいこう。あと、この授業が終わったら、話がしたい』

 当たり障りのないメッセージを送ると、彼女がこちらを見て笑った。


「ごめんね、あれ嘘だから」

 休み時間、屋上にて言われたのはそんなセリフ。

「え、本当なのか? 妊娠してないのか?」

 おろおろとするのは自信のなさの現れだ。

「うん。ちょっと驚かせたかったんだ。こないだ、ブルマ履いてやったときさ、ちょっと引くくらい激しくて、仕返しがしたかったんだ」

 そうなのか。

「君コスプレ相手になると、目が本当に怖いんだ。草食動物を襲う肉食動物みたいにね」

「し、しかたないじゃないか」

 魅力的な誘惑がそこにあるんだ。

 それに支配されかけるのも人間ならではの特性じゃないか。

「わかってるって、私もエッチ嫌いじゃないから。じゃないとあんな恰好なんてしない。あーー」

 チャイムが鳴る。

「戻ろっか。そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だから。妊娠してないよ」

 いこうと、手を掴まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

重いメッセージ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る