第33話体育祭

俺が学校へ向かうと、いつも使っている門の前に看板が出ていて。


その看板は華やかに飾り付けられていた。


辺りを見回してみると、看板以外にも色んなところに華やかな飾り付けがされていた。


いつも通っている学校のはずなのに、今日はいつもとは違う雰囲気だ。

 

俺はその飾り付けを見て、いつものように自分のクラスに向かった。


「おはようティーナ」


「おはようりく」


周りの生徒達は今日一緒に体育祭を誰と回るか話し合っていた。


「ねえりく…体育祭…一緒に…見て…回らない?」


「いいけど、ティーナだったら他のクラスのやつらに一緒に回ってくれって頼まれたりしてるだろう」


ティーナって可愛いから何人かに頼まれててもおかしくないんだよな。


「うん…りくが…いいの」


ティーナは強く頷きながら笑顔でそう言った。


そうはっきり言われると、なんだか照れるなぁ。


ティーナはいきなり辺りを見渡し始めた。


「なんでそんなに、辺りを見回してるんだティーナ?」


ティーナは一息ついた後俺の耳元で、こう話し始めた。


『昨日同じクラスの何人かに一緒に見て回んないかって誘われてるんだよ』


『え!本当に俺でよかったのか!』


俺はティーナにもう一度確認の言葉を投げかける。


『だからりくがいいんだってそれとも私と見て回るの嫌だ!』


ティーナはそう言いながら泣き始めてしまった。



すると今まで話し合っていた生徒の目線が一気に俺に向く。



「いや、そういう意味じゃなくて…俺と一緒に回ってください!」



俺は慌てて訂正するようにそう言った。


するとティーナの口元がニヤリと笑う。


その後でゆっくりとティーナは俺にいたずらっぽく笑った表情を見せる。


「あ!俺のこと騙したな!」


『ごめんごめん、なんか急にやってみたくなっちゃって』


『心臓に悪いからやめてくれ』


っていうか、これがきっかけでまた変な噂がたったら大変だしな。


まぁティーナ楽しそうだし、別にいっか。


「あ!ティーナのお母さん今日体育祭見に来てくれたりするのか?」


俺がそう聞くとティーナは英語でこう言った。


『うん、仕事休んで来てくれるって』


『そうか、よかったな』


しばらくすると、担任の先生がクラスの中に入ってきた。



「みんなわかっていると思うが、今日は体育祭だ怪我しない程度に頑張ってくれ」


「はい!」


クラスの生徒達はいつものダルそうな返事ではなく、はっきりとした返事を、先生に返した。


しばらくして無事に体育祭が始まった。



「それじゃあ…行ってみよう…まい…がやってる…お店に」


「そうだな、早速行ってみるか」


俺達は隣のクラスでやっている占いの館に向かった。



俺達がそのクラスに行ってみると、そこは中二病感溢れる場所に変わっていた。


俺が辺りを見回してみると頭蓋骨の置物や他にもおどろおどろしい置物がたくさん置いてあった。



「ここなんかもう半分お化け屋敷みたいだな」 


「うん…そうだね」


俺達はそんなことを言いながら麻衣の姿を探した。


しばらく辺りを見回してみると麻衣の姿を見つけることができた。


「調子はどうだ?」


「うまく…いってる?」


俺達はそんなことを言いながら麻衣に駆け寄る。


その麻衣の衣装は黒魔女の衣装で黒いマントと帽子を身につけている。


「まだ始めたばっかで誰も来てないわ」


「そう…なんだ」


魔女姿の麻衣を見ている俺の視線が気になるのか、こう言ってきた。


「そんなにまじまじと見ないで」


麻衣は少し恥ずかしそうに顔を赤くして俺から目をそらした。


「あ!悪いこんな格好してる麻衣初めて見たから」


麻衣は一息ついた。


「それじゃあ占ってもらおうかな」


「いいけどど一体何を占うの?」


「そうだなぁ俺のこれからの人生、どうなっていくのか占ってもらいたい」


「わかったわ」


麻衣はそう言ってテーブルの上にタロットカードを伏せた状態で広げた。


「この中から好きなカードを選んで引いて」


 俺はそう言われて一番真ん中のカードを引いた。


そしてティーナは俺の右隣のカードを引いた。


「麻衣これはどういう意味合いのカードなんだ?」


「これはムシャのカードね」


「このカード、男の人が崖の上に立って空を見上げてるでしょ」



麻衣は俺にカードを見せながら、そう言った。


「ああ」


「この意味はどんなに悪い状況でも気にしないで希望を見てるっていうカードなの」


「まい…私の…カードは?」


ティーナはそう言いながら麻衣にタロットカードを見せた。


「このタロットカードは太陽のタロットカードだね」


「太陽のカードの意味は調和ちょうわ


ティーナは麻衣が言っていることがわからなかったみたいだ。


『つまりティーナは今までもこれからも周りの人達に元気を与えて、仲良くできるってことだよ』


俺は麻衣がいったことをだいぶ脚色きゃくしょくしてしまったが、なんとか伝えることができた。



「こんな感じで合ってるか麻衣?」


「ええ、まぁ、ざっくり言えば、そんな感じね」


「それじゃあ、ありがとうな麻衣俺達そろそろ行くから」


「ええ演劇頑張ってね」


「ああ、それなりに頑張るよ」


ティーナは俺のその言葉と同時に頷いた。


俺達は麻衣のクラスを出て他のクラスのところにいって、どんな出し物をしているのか見た。


他のクラスは射的とかくじ引きとかまるでお祭りのようだった。



「良かったなティーナくじ引きで銃が当たって」


もちろん本物の銃じゃなくておもちゃの銃だけど。


「うん」


ティーナは満面の笑みでそう頷いた。


「りく…残念…だったね」


ティーナは俺が手に持っている、残念賞のポケットティッシュを見ながら、そう言った。


「でもまあ、俺の場合そういうの貰っても使い道思い浮かばないし、逆にこれで良かったのかもしれない」


「第1、俺の部屋漫画とゲームでいっぱいいっぱいだから銃のおもちゃを置くスペースなんてない」


「あ!そうだね」



思ってたよりも意外とあっさり納得してくれたな。


俺達がそんなことを話していると、アナウンスが流れた。


「体育祭で演劇をやる方は、体育館へ集合してください」


「それじゃあいくぞティーナ!」


「うん!」


そして俺達は体育館に向かった。



体育館に向かうとたくさんのパイプ椅子が並んでいて、そこには大勢のお父さん、お母さんが座っていた。


俺があたりを少し見回してみると母さんがティーナのお母さんと一緒に前の方の席に座っていた。


俺達は急いで衣装に着替えた。


「最後に自分達のキャラの確認するよ」


「陸くんは主人公のノロシード

ルの役ね」


「ティーナさんはヒロインのアリスファートらの役ね」


その女子生徒は1人1人の役を確認していった。


しばらくしていよいよ本番の時間になった。



俺は1回冷静になってから今まで練習してきたセリフを喋った


「はぁ、今日も剣の修行疲れたなぁ」


「でも一流の剣士になるためには、修行頑張るしかない!」


「俺はそんなことを考えながら自分の家に帰った」


俺は緊張しながらもセリフを喋っていった。



「今日も剣の練習頑張んないとな」


「そして俺はいつものように剣の練習をしている山へ向かった」


「するとそこには1人の女の子が倒れていた」


俺はそれからも順調にヒロインが闇の組織に狙われているというところまで進めることができた。


だが!いよいよラストシーンに差し掛かろうとしたその瞬間!



「おーい、楽しそうだな、随分!」


雲雀達が乱入してきた。


「りく…どうすんの?」


ティーナは不安そうな声で俺にそう言ってきた。



そして周りにいる生徒達はどうしたらいいか分からず固まっている。



「大丈夫だ、こうなるだろうと思ってあらかじめもう一つのシナリオを作っておいた」


とは言っても、ほとんどアドリブでやらなきゃいけないけど、今はやるしかない!


俺は一旦心を落ち着かせて、セリフをしゃべり始めた。


「アリスは俺が守る!」


俺はそんなセリフを言いながらテアリスを守るように1歩前に出る。


「ありがとうシード」


ティーナは察してくれたみたいで繋がる言葉を言ってくれた。


「みんなでアリスを守るぞ!!!」


俺がそう言いながら剣を上のほうに抜けると。


「おおーーー!!!」


周りの生徒達もそれを察してくれたみたいだ。


雲雀達はそのまま演技を続けていることに驚いているようだった。


だが、俺達はそんなことは気にせず雲雀達に攻撃をしようとする。


「なんだかよくわかんないがお前じゃ俺に勝てねーよ!


雲雀はそう言いながら俺が手に持っている剣を思いっきり上に蹴飛ばした。


それをあらかじめ予測していた俺は上に蹴飛ばされる瞬わざと手を離して観客席からは見えないように。


俺は雲雀のみぞおちを思いっきり殴った。


「う!」


「今までずっとサンドバッグの代わりにさせられてきたんだ。今度は俺の引き立て役になってもらうぞ!!!」


俺は耳元で小さくそう言いながら雲雀を睨みつけて圧をかけた。


周りの生徒達も俺に続くように、雲雀達に攻撃をした


俺はそれに紛れながらもう一発雲雀のみぞおちを殴った。



「シードこれで…終わったんだね」


ティーナのセリフに俺はこう返した。


「ああ、これで平和に暮らせるよ」


「ありがとうシード」


ティーナいやアリスは満面の笑みでそう言った。


そして、劇が終わると周りから雨のように拍手の音が聞こえてくる。


「やったな、ティーナ」


「うん…みんなの…おかげだよ!」


「ああ、そうだな」


こうして俺達の体育祭は幕を下ろした。



面白かったら 星3つ つまらなかったら 星一つ 正直に感じた気持ちでもちろん 大丈夫です。 最後にブックマークもいただけると嬉しいです。



スキルが一つも使えないという理由で勇者パーティーを『追放』された俺は《伝説の剣士》に修行をつけてもらったら、とてつもなく強くなりましたどうやら俺は体の成長が追いついてなくて力が使えなかっただけみたいだ。


という短編作品を書いたので ぜひ読んでみてください。

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日本語が喋れない イギリス美少女転校生が頼れるのは 英語を 完璧にマスターしている俺ただ1人 @Dfggggggyhhhhh

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