有名ということ
バブみ道日丿宮組
お題:有名な俺 制限時間:15分
有名ということ
学校で有名な彼女を恋人にしたことによって、
「……」
色んな視線を浴びることが多くなった。ちょっとした有名人のような感じだ。
「どうしたの?」
「いや……なんでもないことなんだけどさ、視線って慣れるものなのかな」
ご飯中にする話題ではなかったけど、好奇心に勝るものはない。
「女子が着替えたりするだけで視線たくさんだよ。あっ中学校の話ね」
あぁと頷く。
俺の高校ではきちんと更衣室が用意されてるので、男女混同で着替えをすることはない。
とはいっても……覗きがなくなったということではない。友だちなんかは何度も挑戦して、女子にフルボッコされてるしな。
「やっぱり気になる?」
「そりゃ気にならないってことはないよ」
「……えっち」
「へ?」
思わず変な声が漏れた。
「ど、どうして視線を浴びることがえっちになるんだよ」
わけがわからないよ!
「そっちのことだったのね。わたしの着替えを覗きたいのかと思った」
ふふふと優しい笑み……凄く恐い。
「恋人となった今、堂々とみたい!」
「ふーん、やっぱえっちじゃん」
「まぁ……年頃の男子ですし? 普通じゃないかな」
彼女を彼女としたのは普通じゃない気がする。
高嶺の花とも呼べる人を身近におけるなんて環境はおそらく二度とこない。このまま結婚まで続けていきたいと思ったりするが、儚い願望であろうか。
「話を元に戻すけど、視線は慣れるものなのか?」
「うーん、慣れたりするものだけど、嫌な気分になるのは変わらないよ。それが尊敬の念が込められたものであったとしてもね」
なるほど、参考になる。
少なくとも尊敬の念じゃない悪に近い視線を浴びてる俺は嫌な気分のまま学校生活をし続けることには変わりないようだ。
「わたしと付き合ったことひょっとして後悔してる?」
「そんなことはないよ。たまに俺で良かったのかと思うことはあるけどさ」
ぱくぱくとパンを口に運ぶ。
「わたしは君で良かったよ。へんに人気のある人だとちょっとね」
「そっか」
それでも底辺にいるような俺で良かったのか。俺で後悔しないのか……怖くて聞けないな。
「俺は成長してるかもしれない」
「なにそれ」
お昼時間、彼女との貴重な時間を今日も過ごした。
有名ということ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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