第4話あれから

あの時は状況が分からなかったが時間が経った事で自分が赤ちゃんに戻ったと自覚した。

一瞬、転生かと思ったが名前が清水 雪那(しみずせつな)と前世と同じ名前だったのと家族構成と家族の名前、実家の形は配置まで全て前世と同じことで俺は転生ではなくタイムリープと言う自身の過去に戻った事を理解した。

前世と言うか前の人生では後悔ばかりして生きていた俺としてはこのタイムリープで流されず自分の生きたいように生きようと思い過ごしてきた。

「雪那、出かけるから準備をしなさい」

少し黒く焼けた彫りの深い顔の男性が俺の父親 俊春(としはる)である。

基本は温厚で優しい父親なのだが、約束を破るなどのルールやマナーを守らない時には叱るのでその時の怖さも身に染みているので今生では5歳でありながら前世の知識をフル活用して怒られないように立ち回って居たら、神童と周囲から言われるようになってしまった。

ちなみの家族は現在、父親の俊春、母親の真由美(まゆみ)長男の大毅(だいき)次男 遼(りょう)3男の俺 雪那の5人家族なのだがこの度、新たな家族が生まれるので母親は入院していて、今日はそのお見舞いに行く日だった。

「兄貴、次も弟なのか?」

「いや、父さんの話では女の子らしいよ」

長男と次男の会話に父親は無言で頷いた。

「さぁ母さんに顔を見せに行くぞ」

俺たちが車に乗ったのを確認して、車を発進させた。


「雪那起きて、着いたよ」

俺を呼ぶ声が聞こえたので起きると大毅が俺を揺さぶって起こしていた。

俺は幼いころから車に乗るとすぐに寝てしまう事が多く、病院へ向かう道中の記憶も覚えていなかった。

(前の時と同じ癖がそのまま残っていると言うことは変えられない事もあるかもしれないかも)

好きに生きることを目標にした今の人生に置いて少し不安を感じる要素の一つではあったが、後悔の分岐点は明確に覚えているのでそこだけは絶対に間違え居ないようにノートに記録を残している。

今は記憶があるが将来的に忘れてしまう可能性も考慮して書面として残してある。

傍から見るとただの妄想ではあるが明確な自分の将来の現場なのでもしも記憶を忘れてからこのノートを見た時に判断の一つになればと思って居る。

ちなみに妹が生まれた時と言うか後にも選択肢が存在する。

前世ではこの後、2年後に両親が離婚する事になる。

原因は明確な理由は知らないが、金銭的な事だと予想できる。

ただ子供の自分に金銭的な事で変化を出すことは難しい。

回避できない選択肢に対しては被害を軽微にする事が主になる。


「当分、母さんと赤ちゃんは病院で泊まる事になるから今日はもう帰るぞ」


考え事をしていたら時間がいつの間にか過ぎていたらしい。

先ほど病院に着いたと思ったらもう退室の時間になっていた。


「赤ちゃん小さかったな」

兄貴が嬉しそうに話かけて来た。

弟も自分の下に妹が出来て嬉しいのか笑顔で俺の横で座っている。

新しい家族が出来たこの瞬間を先の事を知っている俺以外は病室の居た母親も含めた家族全員が満面の笑みで喜んでいる光景を見て、その喜びを純粋に感じれなくなっていた自分に寂しさも覚えながら車は家への帰路へ着いた。

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人生の分岐点~次は自分らしく生きてみる~ 黒猫のガラクタ置き場 @Hyokomin

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