エピローグ

〜最終回! これまでのあらすじ特別版〜


 皆さん、こんにちわ。ユウトです。

僕達は観測者の力により、モノガタリの野望を打ち砕く事が出来ました。有難う御座います!

 さて、いつもの日常に帰って来た訳ですが、皆さんは疑問があると思います。

 それは、僕の失われた『欲』。

食欲と睡眠欲が、どうなったのかという事です。 残念ながら、僕の『欲』は戻りませんでした。ですが、治す方法があると言うのです。


 それは…… 邪神どもに直接聞いた方が良さそうですね? それでは最終回、スタートです!



「…と、いう訳だ。悪い話じゃ無いからOKしておいたぞ」

 ナロゥは、僕の部屋のフィギュア埴輪ハオちゃんを摘み上げながら言った。

「ユウトぉおお、よかったなぁあ!!」

 カアクの絶叫はさておき、

「あのぅ、その提案には驚いていますが、それより何で皆さん此処に居るんですか…? あの、感動的な別れのシーンは何だったんでしょう?」

 そう、僕の部屋には邪神どもが全員集合していたのだ。しかも、あの闘いの翌日に。

 勿論、此処に居るのは邪神だけでは無く、いつものメンバーが部屋を埋め尽くしていた。

 ナロゥの提案に嬉々としてリラは「でも、ナロゥの言う提案が事実なら、私たちの力が必要よね!? 私は構わないわよ。ツカサさんはどうするの?」

 と、ツカサ先輩の手を掴む。

––– sit! 成る程、この英単語は嫉妬から来ているのか?などと現実逃避の中、ハムが嬉しそうに尻尾を振っていた。

「勿論、俺も行くよ。並行世界だなんてワクワクするじゃないか。沙奈江には上手く言っておくよ」

 ツカサ先輩の言葉に、モノガタリはフィギュア尊土偶をいじりながら、

「その必要は無いよ。『リヴィア』の願いを叶えれば並行世界に飛んだ直後の、この場所に戻してくれるから、実質この世界での時間軸上、君達は居なくなった事にはならない」と、呟いた。


 説明しよう。邪神どもの提案を。

僕は、モノガタリとの戦いで並行世界に繋がるゲートを開き、カアクが観測者の世界に行った。その時、意図せず他の並行世界から『リヴィア』という女神がこの世界に迷い込んでしまったらしいのだ。

 彼女も創造の力を持っているが、自分の世界も『観測者』の力が必要な状況になっているらしい。

 そこで、僕に助けを求めて来たという訳で、見返りとしてリヴィアの世界に行く前提で、僕の『欲』を戻した状態にしてくれるという。

 勿論、リヴィアの望みが達成出来れば、僕達をこの場所、この時間に帰してくれる。


「まあ、この世界の管理は僕に任せて行って来なよ。心配しなくても、もうこの世界を破壊しようとは思ってないから…あっ!」

 モノガタリは、フィギュア尊土偶の首と胴体を引っ張り、首がポロリと抜け落ちた。

 ––– いや、僕のフィギュアが破壊されています。それは、僕の世界の一部です。


「ユウトさーん!お邪魔するわねっ!!」

その言葉で勢いよく放たれた扉の向こう、玄関先に現れた女性にリラは鋭い視線を向けて言った。

「あら?何の用かしら? もう部屋が一杯よ、お引き取り願おうかしら」と。

 その女性も負けじと「へぇ? 私はユウトさんと一緒に寝た仲よ?いわば、彼女なんですけど?」

 目から火花を散らす二人に僕は割って入った。

「もう、ネムさん!寝たって勝手に添い寝して来ただけでしょう? 僕のリラさんへの想いを知ってるのに冗談キツイですよ?」

 その言葉に、リラは『むふぅ』と何故か得意げなポーズを取っていた。

「オネーチャン、お腹空いたよ。あ、ユウトくん、何か食べ物ある?」

 …もう、この二人は……

「クゥさん、あまり食べ過ぎると太るよ?」

 ネムとクゥがこの世界で具現化出来た事。それが、僕の『欲』が戻らない理由だった。

 あの闘いの後、虹色のメダルが赤いメダルに戻った際に出現した二人。つまり、僕の『欲』は分割されたのだ。

 でも後悔どころか、二人が生きてくれる事が嬉しかったんだ。

 それを知ってか、ネムは悲しげに「ずっと、ユウトさんの為に尽くす」と、言ってくれていたが、「ネムさん、実は、僕の『欲』を取り戻す方法があるんです。だから、心配しないで下さい」という言葉に驚きを隠せない様子で喜んでくれた。


「よし、ユウト。善は急げや!ナロゥの兄ちゃん、早う行こうや!」

 カアクは何故か僕の背中に飛び乗り、『出発進行!』と、天を指差した。

「みんな、僕の為に……ありがとう」

その言葉に、みんなは笑顔で頷く。


––– 『有難う』それは感謝を伝える言葉。

僕が皆んなと出逢えた事で手に入れた、宝物の一つだ。


「よし、行こうか!」ナロゥの言葉で、ゲートが現れる。

 そんな中、リラは決意の眼差しで僕の側に歩み寄ると、耳元で囁いた。「ユウト、私ね……… 此処に戻ってきて、もう少し大人になったら『仲間』になってあげてもいいと思ってるの。だから、絶対無事に戻ってきましょうね」

 そういうリラの顔は真っ赤で…でも、

「え?もう仲間だろう?」と、返した僕にハムが『アホンッ』と吠えた。

 そして、ため息と共にカアクが言った。

「はぁ、最後の最後で鈍感系主人公かいな…

これからも頼むで?ユウト!」


 こうして、この世界での僕達の冒険は幕を閉じた。でも、何でカアクちゃんは最後に僕をフルネームで呼んだんだろう…?

             まぁいいか!


         FIN



  次作予告!!『ギルティ//ベクトル』へ

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ギルティ=サークル なかと @napc

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