彼女の悪

バブみ道日丿宮組

お題:過去の悪役 制限時間:15分

彼女の悪

「準備はできた?」

「待ってください……今起きたところです」

「そう……だったら早く準備しなさい。今日は街に買い物に行くのよ」

「拒否権はないんですか」

「あなたが平穏を維持したいのであれば、いうことを聞くのよ」

「わかってます。この場所はあなたがくれたもので僕はそこにいる。あなたのものといっても過言じゃない。明日朝日が拝めるのはあなたのおかげです」

「わかってないじゃない」

「そうですか? あなたのことはだいぶ調べたと思うのですが」

「遺伝子情報を取得したところで、私が私であるという証明にはならないわ。それに私の愛液をそんなくだらないことに使わないで頂戴。たっぷりと味わうのが役目だとは思わない?」

「そうですかね。この国で唯一の第六感持ちの液体といえば、国宝指定されてもおかしくないかと」

「現実を見なさい。誰も私をそんな風に見てないでしょ」

「そうですね。あなたが分子を排除し続けてるから、いるということには決してならない。どこまでいっても正義を否定するあなたが悪をつかさどるのであれば、過去の悪人たちが正義のように見えるでしょうね」

「ふふ、頭が回ってきたようね? なら、もう動けるかしら?」

「もう少しだけ待ってください。昨日どれだけ僕から搾取したと思ってるんですか。普通の人だったら崩壊しますよ」

「いい薬だったでしょ。私の力が浸透するように作ったものなの」

「そうきくと男たちは喜びそうですね」

「そうね。愛液とほとんど変わらないエキスが浸透してるのだからね」

「はぁ……どうしてこんな人が僕のご主人さまになったのだろうか」

「あきらめなさい。あなたを拾った時に運命は決まったの」

「買い物にいくだけなのに凄い力を使いそうですね」

「ついでに新人を潰しておきたいの」

「最近ポッとでの娼婦屋ですか?」

「そうね。そういうことは国にあってはならないわ。私があなたにそういうことを要求するのであれば話は別になるけど、私以外は駄目よ」

「ほんとわがままなご主人さまだ。いいですよ、服も着ましたしいつでもいけます」

「じゃぁ、私を抱きしめていきなさい」

「はい、仰せのままに」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女の悪 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る