第25話 EPILOGUE

エピローグ




 アル・カートラス星の蜂起から一か月が経過した。独裁から解放された直後は混乱していた社会も共和国議会の援助もありじょじょに落ち着きつつあり、対蛮族戦線への影響も最小限で済んだ。王政は廃止され王族の財産はすべて押収された。レジスタンスは当初ティタニアも投獄しようとしたが、いまだ王家を慕う国民は多く彼らの反対でそれは免れた。

 エルストレアとティタニア、FFはレジスタンスから支給された宇宙船、宇宙を駆ける女鹿フライングティアで銀河を救うべく星の大海原へ飛び立った。


「いい宇宙船だね」

 浮遊椅子レビテートチェアの上で胡坐をかいたエルストレアが、椅子をくるくる回転させた。

 彼女と二人の友は宇宙船のラウンジにいた。簡素だが趣味のよい調度品が置かれ寛げるようになっているが、天井には複数のディスプレイがあり、宇宙船内外の状況がここから一目でわかるようになっている。

「王家の所有していた宇宙船の中ではもっとも質素ですが戦闘能力の高い船です。わたくしへの最後の餞別としてレジスタンスの方々がくださいました」

 宇宙船の操縦を自動オートにして情報端末で文章を読んでいたティタニアが、画面ディスプレイから顔を上げた。

「彼らに感謝しなければ」

 ラウンジの端で机に向かい共和国について勉強していたFFがティタニアへ振り向く。

「君をアル・カートラス星に置いておけば王政存続派の旗頭にされる。体のいい厄介払いだ」

「それでも王家がしてきたことを考えれば過ぎた餞別です」

 回転しながら二人のやりとりを見つめるエルストレアは複雑な顔だ。すでに彼女は天界と交信して状況を報告し、次の指示を受けていた。

 胡坐をかいたままだがエルストレアがクルクル回るのを止め、真摯な表情で二人の友に向き直った。

「銀河からアス・ヴァ・フォモールの神を一掃して無辜の人々を救うのはあたしの使命。二人が付き合う義務はないんだよ?」


 ティタニアが崩していた姿勢を正し美しいに顔に不退転の覚悟を浮かべた。

「貴女様にはアル・カートラス星を救っていただきました。このご恩は今後のわたくしの生涯を捧げてお返しします」

 エルストレアが視線を移したFFも彼女を同じ顔をしていた。

「君が助けてくれなけらば俺は奴隷衛星で死んでいた。他に行く当てもない。君を助けたいんだ」

 戦女神は一瞬なにかをいいかけたものの、これ以上に気遣いの言葉は二人の覚悟への侮辱だと思ったらしく、立ち上がり拳を差し出した。

 ティタニアとFFも無言で立ち上がり拳を重ねる。

「よーし! 銀河を救うためガンバろう!」





 GОDDESS STRIKE ENDE

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女神だけど転生したら奴隷からなり上がることになりました。でも優しさを忘れずガンバって自分を嵌めた邪神を倒します @kisugiaoi

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