家にいるもの
バブみ道日丿宮組
お題:見憶えのある耳 制限時間:15分
家にいるもの
「君はひょっとしてエルフっていう種族なんじゃないか」
目を覚ますと、耳が尖った少女がこちらを見てた。
「おはようございます。旦那様」
瞳の色は緑、髪色は金。服装はメイド服とかなり目立つ格好。身長はだいたい140cm。いつも目にする胸はDくらいだろうか。特徴が一番出てるのは、耳だろうな。二等辺三角形のように尖った耳はこの世界では見ることがない。おとぎ話の世界の人物が彼女だ。
一度そういう世界から来たという少女の言を調べるために、彼女の姿を友だちに見せたらロリ巨乳エルフと言われた。ちなみに異世界から来たということは信じてもらえなかった。いわゆる僕の趣味でそういう格好をさせてると認識されてしまった。
「いい加減ご主人様ってのはやめてくれないか。名前か、あなたぐらいで手をうってはくれないだろうか」
何度もいったセリフを口からこぼしつつ、ベッドから起き上がる。
「ご主人様はご主人様です。はい、バンザイしてください」
言われたとおりにすると、彼女は僕の衣服を脱がし始める。
「これもいつものことだけど、着替えぐらい1人でできるよ?」
「それでも私はメイドですのでできることはしてあげたいのです」
なるほどなという感情はさておき、ズボンを脱ぎ、シャツを脱げば、半裸の男の出来上がりだ。肉体は筋トレはしてるが自慢できるようなものじゃない。むしろ彼女のほうが脱いだらいい肉つきである。
「はいはい、わかりましたよ」
手慣れた様子で僕に服を着せる彼女。
お金持ちは着替えを執事たちにやらせるとは聞いたことはある。自分がまさかそうなるとは彼女に出会うまでは思ってもなかった。
彼女に出会ったのは、大学に通学する際に通る河道。
ダンボールの中で凍えそうになってたのを発見したのが最初だ。あの頃は子猫の姿をしてた。暖をとって、いろいろやり終えて、大学に遅刻して、家に帰宅すると見知らぬ少女が僕のベッドで眠ってた。
それが子猫だと認識するのにかなりの時間を要した。
彼女の話によると、ここではない世界で魔法の攻撃を受けて転移をしたということらしい。最初はそういう属性の人なんだろうなって誤魔化してたが、鍵がかかった部屋に全裸で侵入する人なんているはずもなく……ってね。
いく場所がないようでこうして僕と同棲生活をはじめることになった。
そこから恩義を感じて、メイドになったということだ。
「今日は遅くなるから」
「わかりました」
玄関先でのやり取り後、彼女は手を振って扉を締めた。
「……」
彼女がいるってこういうことをいうのだろうか。誰かに見送られるってなんだか胸がぽかぽかして、気持ちが良い。
今後どうなってくかわからない僕たちだけど、今は今を過ごすしかない。
家にいるもの バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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