猫耳病

バブみ道日丿宮組

お題:猫の女祭り! 制限時間:15分

猫耳病

 これはいったいどういうことなのだろうか。

「……うん、ん……?」

 視界をいったん部屋に戻して、再度窓の外へと向ける。

 何も変わらない。

 そういうことならば、ここは現実なのか? ほっぺたをつねるとじんわりとした痛みが襲ってくる。

 大体痛みを感じるから現実というのは安易な発想だと思う。

 飛行機から落ちる夢とか、誰かに刺される夢とかは、それ相応の痛みを夢の中で感じてる。そりゃ落ちる系の夢はたいていベッドから落ちてたとかだけどさ。

 なんにしても痛み=現実と考えないほうがいい。

「……」

 立ち上がって、テーブルの上にあるスマホを手に取る。起動してみると、日時は次の日……つまり眠った日を超えてる。

 日時は問題なし……と。

 ならば、部屋の中に変化はあるだろうかと見渡してみる。

「……一緒」

 変わらない。つまらない世界がそこにある。

 第一に外で猫耳をはやした人間が歩いてるからといって、部屋の中が変わるというのはおかしな話だ。どちらかといえば、容姿……そう自分の姿を見るべきだ。

 再度スマホを手に取り、カメラを起動。インカメラにして自分を写してみれば、

「お、おぉ?」

 見慣れないものが頭から生えてた。

 触ってみるとふさふさでなんかもぞもぞした。

「……なにこれ?」

 猫耳は力をいれると少し動いた。つまりは私の身体の一部……ということになる。コスプレかなにかであれば、妹の仕業とも考えられるのだが……違うようだ。

 なんにしても学校に行かなくてはいけない。

 そう思って、なるはやで制服に着替え、姿見の前へと出てみる。

「……うーん」

 そこには猫耳制服少女がいた。顔は見慣れてるのに、やはり頭の上に違和感。

「お姉ちゃん、まだ寝てるの? って起きてるじゃん。ご飯冷めちゃうからーー」

「ちょ、チョット待って」

 起きてこない私を起こしにきた妹にも猫耳がついてる。

「あんたそれ……!?」

「あぁ猫耳のこと? なんかそういう病気が女性だけに発生してるみたいだよ」

 ふにふにとなにごともなかったように妹は動かす。

「ほら、猫耳のことはいいから早くきてね」

 バタリと扉を閉められた。

 ……着替えは終わってるから、別に一緒に出れたのに。


 ーーそう自分を誤魔化し朝食を食べて、外に出た私は……人生で一番の驚きになるだろう景色に悲鳴をあげることになるのであった。

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猫耳病 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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