夜にあるイベントといえば

バブみ道日丿宮組

お題:夜の妹 制限時間:15分

夜にあるイベントといえば

 コンコンと扉が叩かれると、

「お兄ちゃん、こんばんわ」

 妹が部屋を訪ねてきた。

「何かよう? こっちは暇じゃないんだ」

 

 ーー嘘だ。

 

 ベッドでゴロゴロしちゃうほど、なにもしてない。しいていえば、呼吸をしてるっていう比較的どうでもいい行動しか持ってない。

「今日も一緒に寝てくれない?」

「……またか?」

 うんと妹は頷く。その手にはピンク色の枕がある。妹の外面だけを見れば、話さなくて要件はわかることだった。妹は、度々このように一緒に寝たがる。

 小学校の頃は同じ部屋で寝てた。中学校になってお互いの部屋をもらってからは、一人で寝ることが当たり前だけど増えた。そんな状態になっても妹はこうしてやってくる。

 わざわざ同じ布団に入って眠りたいあたり、かなりのブラコンだ。僕も妹は嫌いじゃないし、もしかするとシスコンなのかもしれないが悪い印象はない。

「ダメかな?」

 上目遣いの表情でこちらを見つめられると断りづらい。

「いいよ。別に減るもんじゃないし」

 わーいと声を上げた妹は、枕をこっちへと投げつける。

「お兄ちゃんの隣は私だからね」

「……他に誰もいないだろ」

 両親が枕元へやってくるのかといえば、こない。友人がやってくるのかといえば、こない。なにか特殊な生命体がやってくるのかといえば、こない。

 なら、今のところ隣にいるのは妹だけになる。

「でも、最近学級委員長と仲がいいんだよね?」

 どこでそんな噂を拾ってきたのか。

「いやさ、同じ委員なんだから話をしたりするのは当たり前だろう」

 まぁ、それにしたとしても他よりは仲がいいかもしれない。

「お兄ちゃん気づいてないかもしれないけど、噂になってるよ。カフェに二人でいったり、昼に一緒にご飯食べたりって」

「たまたまそうなっただけだよ。それに昼だったらお前とだって食べてるじゃないか」

 そう特別な関係じゃない。たまたまそうなっただけで、きっと委員長は別に好意を持ってるわけじゃない。至極当然のコミュニケーションの1つだろう。

「ふーん、ならいいかな」

 興味がなくなったのか、妹はベッドに寝転んだ。

「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」

 そうして僕らは夢の世界へと旅立った。

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夜にあるイベントといえば バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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