団地一階事情

バブみ道日丿宮組

お題:コーヒーと団地 制限時間:15分

団地一階事情

 古いマンションの再開発として、一階がお店になってる場所が増えた。経済効果はかなりあったようで、いろんな業者がこぞって参入した。

 私が住んでる団地では、珈琲屋や、アイスクリーム屋がある。学校帰りに漂う匂いは凶器そのもので欲望が抑えきれなくなる。まぁ……小遣いが少ないから毎回買うってことはできてない。

 お店の利用者は主に団地妻だ。そして小さな子どもたち。高価ではないのと、砂糖を控えたローカロリーフードのため、気に入られてるらしい。いくら食べても増えないスイーツとかなんとか。

 ほんとだろうか?

「……」

 一方外からのお客さんは見たことがない。いつも見るメンツしかお店にいないように思える。これはまぁ学校帰りという夕方か夜かわからない時間帯だからかもしれない。

 土日はそれなりに人が入ってるのは知ってる。収入としてももう3年も経営できてるのだから、確かなものもあるだろう。私もお金がある時にコーヒーを飲んでる。

 高校受験のときなんかは、お店の中で勉強したりもした。アイスクリーム屋さんと違って、店内はとても静かで落ち着くBGMが流れてる。客層もおじいさんおばあさんが多いのでゆっくりとした時間が流れてる。

 ちなみに珈琲屋の店員さんとは仲がいい。今度アルバイトをしないかって誘われてる。そこまで忙しいわけじゃないけれど、人がいないととても暇という話だ。

 ちょうど小遣いが足りないと思ってたことだし、断る理由もない。

 そうして私は人生初の仕事という概念を参加することになった。

 やることは注文、掃除、提供という基本的なことで、特別なことはなかった。文化祭でやる出店の延長線のようだった。お金をもらうという大事な部分があるので遊び心は持ってない。

 それでも友だちが遊びに来てくれた時は、凄く話してしまう。

 怒られたことはないが、ほどほどにしなくてはいけないだろう。

 高校を卒業する時期になると、新たにクリーニング店が増えた。これにはお母さんが喜んでた。一番近いクリーニング店が10分も歩かないと行けない場所であり、不便であったと。

 ニーズに応えるのが政府の仕事だから、おそらく今後も同様に役に立つものが増えてくのだと思う。

 大学進学で私は引っ越してしまうけれど、実家に帰ったときにまたコーヒーを飲んでみたいと願う今日このごろであった。

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団地一階事情 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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