新しい銀行

バブみ道日丿宮組

お題:今の銀行 制限時間:15分

新しい銀行

「明日のお金はもらえたの?」

「まだ銀行に振り込まれてなかった。来週かもしれない」

「来週だったら、お金駄目じゃない? あの人期限守らないと怒るよ。乱暴にされちゃった人もいるよ」

「わかってる。わかってるから焦ってた」

「そうは見えないな。いつものあなただよ」

「見えないところで震えてたんだ。なーに大丈夫。俺に何があっても君に被害がいくことはないようにする」

「いなくなったらやだよ」

「そうはなりたくないね。だから、新しい銀行と契約することにした」

「私たちにお金を貸してくれるようなところがまだあったんだ」

「新しくできたところでね。身分さえ証明できれば、いくらでも貸してくれるんだ」

「いくらでもっておかしいよね? 必ずものには限度があるものでしょ?」

「そうだな。だけど、本当のこと。必ず返すという血の契約は結ばないといけないんだけどね」

「血の契約? 命をかけるってこと?」

「契約は、己の血と事前に引き換えて行う。致死量並に吸われることになる」

「それって命なくなるまでお金と引き換えに血を失うってことじゃないの?」

「死にそうになるから、必ず払いたくなる。そんな精神なんだろうな」

「持ち逃げされたりしないの? 血だけ払えばお金は手に入るんでしょ?」

「不思議なもので、借りたという事実が頭からなくならないんだ」

「血を抜くときになにかされたってこと?」

「わからない。抜かれてたことはわかってるのだけど、何かを入れられたって感覚はないよ」

「そんな怖いところから借りちゃったの?」

「あぁ、大丈夫。来週に振り込まれるお金で返済するさ」

「そしたらまた無一文だね」

「何かしないといけないね。いつまでも君に頼ってばかりじゃいけない」

「そうだよ。私だっていつまでも若い身体であるわけじゃない。そういうのが好きなお客さんもいるけれど、全てがそうじゃない。むしろ若ければ若いほど、お金が支払われる」

「……あんまりいいことじゃないね。若い子は好きなことやって生きてて欲しい」

「他人の心配なんてすることじゃないよ。今生きることが大事で、誰かと生きるってことは大事じゃないから」

「君と生きるのは大事だけどね」

「じゃぁ、私の身体も大切に扱ってよね」

「うーん、駄目かな?」

「駄目だよ! なんであんなに激しくするの! 普通でいいの、普通がいいの」

「わかったよ。気をつける。じゃぁ、お金を渡しに行ってくるよ」

「私もついてったほうがいい?」

「いや、いいよ。君がついていけば、あいつは僕以上に乱暴に君をするだろうから」

「そっか。じゃぁいってらっしゃい」

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新しい銀行 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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