生活の一部
バブみ道日丿宮組
お題:隠された罰 制限時間:15分
生活の一部
誰だって1つくらいは隠したいことがあるものだ。
それは恋人に対しても同じことで、
「なんなのこれ?」
「かわいいでしょ?」
見つかったときは強気になるもの。
「かわいくない。なんでぬいぐるみにコスプレさせてるの!」
恋人がぬいぐるみを投げつけてくる。酷い扱い方だ。
怖くないよ、なでなで。あーぬくぬくする。
「コスプレというか、これは飼ってるペットに服を着せるようなものだよ。あれは僕にしてみてはなんなのにあたるわけだが」
「知らないわよ、そんなこと!! まさかこれでへんなことしてないわよね?」
へんなこととはいったいなんのことだろう。部屋に隠されてるぬいぐるみたちは大人しく、ただコスプレをしてるだけ。たまたまそうであるだけで、別に他意はない。
他のぬいぐるみたちもかわいい。
「だいたいなんで私の下着がここにあるの? どおりで見つからないわけよ!」
2つ目のぬいぐるみから体操服を剥ぎ取り、下着をとった。
もっと穏やかにできないものだろうか。
コスプレだって、ぬいぐるみだって、とても大事なものだ。乱暴にしたら壊れてしまう。それは恋人だってそう。優しさが大事。
「もしかして、これって私に着させたことある服……?」
恐ろしい洞察力だ。恋人がここにたどり着いたのも納得の力だ。いや、既に隠しきれてないから違うか。
「スク水、ナース服、ブルマ、チャイナ服……私が知らないのもあるわね」
恋人がタンスを乱暴に開けると、思考を走らせる。
とてもまずい状況だ。
コスプレぬいぐるみコレクターとでも言い放ってみようか? 収集家には間違いない。別バージョンのぬいぐるみだけで3種類もある。ちなみに顔が違う、しっぽの色が違うそのくらいの変化。
「他の人と寝てる?」
「それはないよ。僕は君にしか抱かれてない」
嘘偽りのない言葉だった。
だいたい僕のような貧相な身体は社会的に見ても下の下。抱きつく相手がいないから、ぬいぐるみに抱きついて、気がついたら、隠さないといけないくらいの量になってただけ(それが漏れたともいえるかもしれない)。
「おしおきよ。さぁ、こちらにおしりを出しなさい」
それはちょっと勘弁して欲しい。
この歳になっておしりぺんぺんはシャレにならない。
「拒否してもいいかな?」
「ダメよ」
怒りの波動に支配された恋人に逆らうことができず、僕はおしりが痛くなるまで叩かれたのであった。
生活の一部 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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